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ラストエンペラーのJPのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
3.7
それまでの皇帝に眼鏡をかけることすら許されなかった、というくだりが面白かった。実権はなくても大切な象徴としての皇帝なら、むしろ盲目で構わない、という体制に抗い、弁髪を切り落とし、眼鏡をかけ、外の世界をよく見て、よく知ろうとした溥儀。だが結局日本に使われることとなり、婉容に「盲目の皇帝」と言われてしまう…。

溥儀の幼少期と戦後の往来。画面の彩度が全く違うので、それだけでもどっちの時代なのかがすぐわかるのが面白い。

序盤の「子供の王様」が成立しているシュールさが◎
追いかけることしかできない宦官、踊ることしかできない宦官、逆らえない宦官。

“塀の中だけの王“であることの絶望の描き方が秀逸。ついには、「脱出したい」という欲望が「統治したい」という欲望へと変化していく幼少期〜青年期は、特に見応えがあった。
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