GreenT

ウルフ・オブ・ウォールストリートのGreenTのレビュー・感想・評価

1.0
ジョーダン・ベルフォートが22歳の時バスでウォール・ストリートにやってくるシーン、コーヒー片手にバスを降りてくるディカプーが本当に22歳のような、ナイーブな感じで良かった。

けど、その彼がどんどん変わっていく様があまり描かれていない。クラブでおフェラされて嬉しそう!とか、先輩のマーク・ハナ(マシュー・マコノヒー)の仕事やプライベートを見て目を輝かせているところはあったけど、次のカットではもう「すっかりその筋の人」になってしまっている。小さい時は貧乏だったっていうのも、写真で示されるだけで、しかも写真が合成だってのがありありとわかる。CGがわかる!とかそういう次元の話じゃなくて、ハサミで切って貼り付けたのがわかる!

ウォール・ストリートを追われた後、ケチなストック・ブローカーで働くハメになったとき、詐欺まがいの電話が上手でメキメキと頭角を現すのだが、どっからその才能が出てきたのかもわからない。

ジョナ・ヒルのキャラもそうで、レストランでバイトしないと生活していけなかったような人が、どうやってあの地位まで上がったのか納得行かない。ジョーダンがリクルートしてくる友達みんなそうで、トラックの運ちゃんだっけ?そういう仕事していた人たちが、どうやってウォール・ストリートを席捲するような人達になったのか、そこは全く描かれてない気がする。

その代わり、セックス・ドラック、くだらないジョークのシーンが異常に多い。

原作本はディカプーがすごく映画化したかったらしく、これを描けるのはスコセッシだ!ってことでコラボになったらしいのですが、2人ともこの映画で描きたいのは犯罪の実態とかそれにかかわった人々ではなく、ジョーダンとその一味の常軌を逸したライフスタイルのようだ。

セックスやドラッグのシーンが露骨なこととか、被害者を全く描いていないことに大批判が出ているんだけど、これが製作者の描きたいことなら私は別に構わないんだけど、気になったのは、カメラワークがめっちゃ平凡でつまらないことだった。

セックス・パーティや、たくさんのブローカーたちがワイワイやってるオフィスのシーンとか、なんなのあのつまらない映し方?上からわーって映して、またわーってバックしてくるみたいな。

ディカプーが暑苦しく演説するシーンも、映し方がすごいつまらない。そもそもセリフが長くて飽きるのに、映像もつまらない。

マーゴット・ロビーと口げんかして「わ~!!」って叫ぶシーンとか、ジョナ・ヒルが喉詰まったのを助けて胸をどんどん!って叩くシーンとか、「アクション!」って言ってから演技したってのが分かる、っていうブツ切りのすごい雑な編集。

ジョークも全く面白くない。一番 "Fuck" を使った映画に認定されているらしいけど、全く面白くない。つまらないギャグをしつこくしつこくやる。

ジョーダンがレモンというすごい強いドラッグで立てなくなって、這いつくばって車に乗るシーンとかめっちゃ長くて、多分これって笑ってる人たくさんいるのだろうなって思ったけど、私には全く面白くなかった。

ディカプーもな~、インタビューとか見るとすごくいい人そうで好きなんだけど、役者としてはなあ~。どの映画でも一生懸命やっているのはわかるし、大根役者ではないんだけど、そつなくこなすだけで、キャラクターに何も持ってこないというか、なにをやってもディカプーにしか見えない。だから熱く演じられれば演じられるほど、こちらは冷めた目で観てしまう。

あと、最初から『グッドフェローズ』のパクリで、ジョーダンがナレーターになって観客に直接語り掛けるシーンで「また同じ映画かよ!」って観るのやめようかと思った。サントラも『グッドフェローズ』と同じくポピュラー・ミュージックを使っているけど、場面に全く合ってない音楽を使っているし、音楽が入るタイミングも雑だし、脇役の人たちも『グッドフェローズ』に比べて全く個性がなくて面白くないし、本当は比べるのイヤなんだけど、余りにもパターン化されていて比べることを避けられない。

とんでもないライフスタイルにフォーカスを当てて、登場人物たちを深掘りしなかったのは、「こういう底の浅い人達なんですよ」って言いたいのかな?って思ったんだけど、そんだったら「うわ~こんなに底が浅いんだ!」って思わせて欲しかった。なんか、すっごいテンション高いのに全く笑えない漫才を延々見せつけられているような、ものすごい引いてしまう映画だった。