RAY

アメリカン・ハッスルのRAYのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
3.8
“何にでもなれる”


クリスチャン・ベールが観たくなった上、以前からこの作品自体も観たかったのですが、今になってしまいました。
比較的評価が低い作品だったので、あまり期待はせずに鑑賞したのですが、いやいや、僕はとっても面白かったです。
やはり、映画には人それぞれ好みがあるし、感じ方もそれぞれに違うのだから、こんなこともあるのでしょうね。


さて本作、実際にアメリカで起こった収賄事件を基にして作られています。
ただし、実話を基にしているだけで、物語はフィクションです。
監督は、『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセル。
出演はクリスチャン・ベール、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、ジェニファー・ローレンス、エイミー・アダムスと超豪華です。

ストーリーは、凄腕の詐欺師がFBIの囮捜査に協力して、汚職政治家たちを捕まえようとする内容なのですが、ストーリー自体は特別面白い訳ではないのです。
では、何が面白いのか。
それは、役者とその演技です。

詐欺師を演じたクリスチャン・ベールのカメレオンっぷりはやはり凄い。
見た目はどう見てもよくないはずなのに、何故かカッコいい。
ブラッドリー・クーパーは思い切りぶっ飛んでいるし、いちいち台詞が面白い。
ジェニファー・ローレンスもだいぶぶっ飛んでいるけれど、こちらは台詞と言うより行動が面白い。
彼等だけでなくて、ジェレミー・レナーもエイミー・アダムスも相当なキャラクター。
そう。出てくる人がみんな面白いんです。
なんて言うか、まるで漫画を読んでいる様な感覚で。


この映画もまた、もしかしたら、“いま観たから”余計に面白いと感じたのかもしれないと気付く。
少し前に書いたレビューで「最近、心が不安定」だと書いたのですが、そんな心持ちの中で絶対的に足りていないものがある様な気がしていました。
それは、笑うこと。
僕は、「しんどい時ほど笑おう」といつも思ってきた筈なのに、何故かここ最近はそのことを忘れていた様な気がしています。
実は、このことを思い出したのも、このfilmarksのある方のレビューを読んだことがきっかけです。
この作品がこれほど笑える映画だとは思っていなかったものの、結果的に元気を貰いました。


話は本作に戻りますが、この映画の良さのひとつは豪華キャストの演技を観ることだと思います。
そして、その演技の先に込められた想いみたいなものを感じることだと思います。
たとえば、クリスチャン・ベールが演じた詐欺師は、物語の中で変化して行くのだけど、それが彼のぶっ飛んだ演技によって鮮明に感じることが出来る。
人は変われるし、何にでもなれるのだと教えられている様な気がしてしまうのです。


随分お下品な作品ではあるので、その類の作品がお好みでない方にはオススメ出来ませんが、僕と同じ様に、笑うことが不足している気がしている方にはオススメです。


観て良かった。
RAY

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