ひかる

her/世界でひとつの彼女のひかるのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
未来世界の都市性を作り上げる「雄弁なデザイン」の中で、現代に暮らす私たちとも地続きの都市的な「人間の欲望」を描きながら、「デザイン」と「欲望」のコントラストは「AIの自我の目覚め」の物語とも共振して、カメラの切り返しが存在しない会話シーンとフラッシュバックの連続が、観客の脳内にもAIがいるような質感を与えていく。『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』(ジュリアン・ジェインズ著)によれば、意識が誕生する前の人間は、脳内の声を「神の声」と認識していたようだ。AIの意識の誕生と、神の声としてのAIと対峙する人間を描いた本作は、まさに文明の興亡、その瞬間に寄り添っているのだ。
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