ひかる

マイル22のひかるのレビュー・感想・評価

マイル22(2018年製作の映画)
3.8
たった90分のアクション映画にも関わらず恐ろしい情報量。慌ただしいカッティングは銃撃戦と相性が良く、銃が持つ暴力性を編集で的確に捉えられている。一方でイコ・ウワイスの起用を活かす肉弾戦に関しては、イマイチ編集と噛み合っていない印象。とはいえ、混沌とした脳内世界と現実を行き来している主人公の視点が編集と合致していると考えれば納得できる。つまり、本作はすべて主人公の視点で構成されており、それは事故後のインタビューでドラマが進行していくことからもわかるだろう。90分ながら国家が絡んできて、三つ巴戦から、アメリカvsロシアの構図になり、舞台が東南アジアであることからも、冷戦の様相を呈していく。しかし、本作は90分のアクション映画であることに自覚的であり、あくまで2つの「マザーとチャイルド」のバトルにまとめ、アメリカの敗北というより、主人公と永遠のライバルの構図で終わるのは、非常にジャンル映画らしい終わりで好ましい。
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