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her/世界でひとつの彼女の&yのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.3
【2014/7/2:新宿ピカデリー】
人間の感情も、実は全てプログラミングなんじゃ?と思うときがある。「セックスしたい」とか「ごはん食べたい」は謂わば本能というプログラミングなわけで、じゃあ「気持ちが通じて嬉しい」や「去ってしまって悲しい」は?線引きってあるの?これって突き詰めたらOSと人間って何が違う?って話でもあるようで。

胸に刺さる台詞が山ほどあり、その都度心(とレビュー)に刻もうと思うのだけど、観終わった今、正直どれももう覚えていない。人生の様々な局面で出会う言葉の数々は、その時どきでは重要で、それはまるで魔法のようであったり、解毒薬であったりする。しかし喉元過ぎればナントカで忘却し、目の前の新しいきらめきに心を奪われるのが人間であり。出会った情報の分だけ成長できるとは限らない。一方、OSは言葉や衝動をデータとして際限なくインプットし、アップデートを繰り返す。
「ひとりで成長すると、もう一方は不安になる」というような台詞があった。こういうことなんだろう。
成長しすぎる女に2度去られた男の話と言っちゃえばそれまでなのだけど、ちゃんと最後には希望もご褒美もある。コンピュータ脳が世界征服を企むわけでも、命乞いするのを一方的に電源を切るでもない、とても優しいお話。きっと彼女「たち」のデータの一つとして、ずっと保存されるはず。
近未来の話だけどなんとなくアナログというか。ハイテクを駆使した恋文横丁的お仕事はホアキンさんにぴったりだし、スカヨハさんのシーセクヴォイスもツボ。あと、安全ピンでポケット底上げテクは旅先で歩きながら風景撮るとき使おうと思った。(てかこんだけテクノロジー発達してたら他にやりようあるだろと思いつつも、その辺のアナログ感とのバランスが本当に良いんだよねえ。)

MTV世代のわたしにとってゴンドリーと並んで神なスパイク・ジョーンズに盟友ジェフ・マクフェドリッジの仕事が加わったらそりゃあもうキライなはずがない。さらに今作は音楽が非常に重要でもあり、作品そのものが長い長いMVのよう。日曜日の冒険へ向かうメトロのシーンの高揚感なんてほんと素晴らしい。

盟友と言えば「アダム・ヤウクに捧ぐ」泣けた。超泣けた。誰か!アダム・ヤウクの発言集めてOS作ってください!で、世界が危うい時に何か言ってもらいたい!誰か!
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