ダウンセット

her/世界でひとつの彼女のダウンセットのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
5.0
AIと人間の恋愛について斬新な切り口が話題を呼んだ本作。
2018年現在、再鑑賞してみるとそのリアリティ具合に強度が増したように感じる。
「私の感情はリアル?」とAIのサンマサが主人公セオドアに問うシーン。恋愛感情はプログラミングされている前提のサンマサが疑問を持ち始める。学習し反芻する事で体験という事実でデータは強化され、更に感情とは何か?と模索し始める。AIであるサマンサはあくまでも人間がプログラムした範囲内での行動や振る舞いをする。しかし学習し経験値を積んだサマンサは自我に目覚め自律した振る舞いを見せ始め、やがて電脳世界に飽き足らず、人智を超えた空間へと自身を解き放つ。物語のラスト間際、サンマサがセオドアに「貴方には理解してもらえないかもしれないけれど私は個であると同時に全てでもあるの」と言い放つ。科学の最先端たるAIがお釈迦さまみたいなこと言ってるのが興味深い。僕も浮気がバレた時にぜひ活用したい言葉だ。

この映画、見方によってはシンギュラリティ前夜を描いた物語と捉える事も出来なくもない。
意識・記憶・自我、これらのメカニズムが解明された時(或いは全てを解明する事は不可能だと解明された時)同時に人工知能はシンギュラリティに到達し、それはいわゆるポスト・ヒューマン時代の幕開けなのかもしれない。



ホアキン・フェニックスとルーニー・マーラって、お似合い過ぎる。