GreenT

her/世界でひとつの彼女のGreenTのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
1.5
恋に落ちる相手がAI であること以外は、平凡な恋愛ドラマで、ガッカリしました。しかも、「お話の教訓」がなんなのか、さっぱり分からない。

私的には、主人公の男は、元々人間関係が苦手で、AI との方が気楽に付き合える類いの男で、AI の女の方が人間の女とよりも、親密な関係を作り上げられるのだが・・・・・みたいな話を想像していました。

しかし、セオドアは、幼馴染みだった妻とうまく行かなくなって別居状態なのだが、妻を手放すことができず、離婚届けにサインできないまま1年も経っているという設定。

確かに内向的で、ヲタク的なところはあるけど、普通の男だし、普通に生身の人間とのふれあいを求めている。

私は人間関係に疲れていて、アレクサとかシリがもうちょっと喋れたら、そっちの方が人間よりラクでいいよ!って思ってる人なので、「なんだ、人間の方がいいのかよ!」って感じだった。

AI 彼女のサマンサも、AI でありながら感情を持つようになってしまって、人間の女と変わらない。駆け引きしてきたり、心配してきたり、あと、「生身のカラダがなくて、あなたに触ってもらえない」と悲しんだり、こちらが感情のケアをしてあげなくてはならない。ウザい!!

セオドアが妻と別れることになった理由は、はっきりとは語られてないんだけど、結婚するとよくある、grown apart、 つまり人間て、成長して毎日どんどん違う人間になっていく。2人が同じ速度で、同じ方向に成長すれば問題ないけど、それがズレてしまうと、別れてしまう、という、ありがちな理由で別れったぽいかなあとなんとなく思った。

何気にセオドアの親友役で出ているエイミー・アダムスが、夫と離婚することになって、セオドアに打ち明けるシーンでも、離婚の理由は日々の小さな亀裂みたいな、結婚ってそうやって日々なんとなくうまく行かなくなる。

って、わかっているから、サマンサが「学習できるAI 」で、「成長したがってる」っていう設定だと「ああ、じゃあ、奥さんと一緒で、いずれは離れて行ってしまうんだろう」って思ってたら、本当にネット上で色々学習して、離れて行ってしまう。

なんて捻りのない!!!

このセオドアの奥さんがルーニー・マーラなんだけど、この娘、ホアキンの相手役には若過ぎない?ハリウッドは非現実的な配役になっても若い女優を使いたがるって最近非難されてるけど、本当にそうだなって思った。全く釣り合わないし、下手すると親子みたい。

それと、これまた何気に出ているクリス・プラット。なぜかダサダサの3枚目を演じている。セオドアの上司?同僚?セオドアとサマンサと、自分の彼女と、ダブルデートをするシーンが、なんだか不自然で白けたし、この役柄の役目が全く分からない。

最後、サマンサに去られて、セオドアは初めて別れた奥さんに手紙が書けるんだけど、「別れても、君は僕の一部として残る」とかって言ってるんだけど、それがこの一連の出来事を通して主人公が学んだことなの?

AI 彼女ってまだ架空のもので、「もし本当ならどうなるんだろう?」ってのがあんまりピンとこなかった。「ああ、AI 彼女だとこういうところがいいんだ!」とか「ああ、こういうところは上手く行かないね」とか、AI 彼女だからこういうところが切ないねとか。

あったっけ?

確かに、人間の女を雇ったりとか、実は裏で600人と恋しちゃったとか、あったはあったんだけど、なんかな〜。人間の女を雇った時も、嫌がるセオドアに女を押し付けるサマンサが不自然だったしな〜。

つまり、AI 彼女という題材はあったんだけど、それを物語まで膨らませることができなかったってことかなあ。というか、この映画すっごい評価高いので、私がこの映画を解する感性がないってことなのだろうけど。
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