【2013/11/1:アップリンク】かなり薄味なドキュメンタリーで、想田和弘みたいな鋭いものじゃない。勿論ワイズマンみたいな斬新さもない。でもね、なんかイイんです、「人生はビギナーズ」を撮った監督が、こういう優しいドキュメンタリーを撮ったということが。言い換えれば、「人生はビギナーズ」がこういう暖かい目線を持った人の作品であることが、嬉しかった。あとから読んだインタビュー記事によると、この2作は同時に作業を進めてたから、監督にとっても兄弟みたいなもの、だそう。膝を打った。
出演者は、鬱を発症した東京在住の人、という以外の共通項はなく、治療の仕方や向き合い方も皆それぞれ。しかしながら「自分らしく生きたい」という、人間なら誰もが持ち得る願望についてはみな殊に自覚的で、それは、鬱ではない側の人々の生活とも地続きなものなんだよなあ、と。今作を観たことで何かが解決するわけじゃないし、鬱に詳しくなるわけでもない。ただ、そんなに特殊なことじゃない、半径5mのお話なんだよ、と囁かれたような作品でした。
「自分らしさ」のキーとして彼らの持ち物をグラフィカルに見せる映像にマイクミルズ節がチラチラ。
