かすとり体力

子宮に沈めるのかすとり体力のレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
3.6
「大阪二児放置死事件」を題材としていて、かつかなりエグいという噂を聞き気にはなっていたものの、是枝監督『誰も知らない』を見た後の心的ダメージを思い出すと、なかなか手を出せずにいた。(子持ちの親にはきつい・・・)

本作を鑑賞した結果、当然精神的にきつい内容ではあったが、仲睦まじい母子家庭が崩壊に向かう過程と、放置された子どもたちが最悪な状況に追い込まれる過程、その変化の描き方が急激であったことから、ある意味「あっさりと」結末パートまで移行したため、『誰も知らない』に比べると(相対的に、ではあるが)心的ダメージは軽度であった。

ここら辺、映画という一つの作品として考えるともう少し丁寧に描くべきだと思うが、そうするとダメージが致死量レベルに到達しちゃうと思うので、どっちが良いかはなんとも言えないな。。

作品の結末は、それまでのドキュメンタリーな雰囲気から急激に「物語的」になるので、起きる事象は実話より悲惨になっているものの、なんとなく実話より受け止めやすくなる(物語として気持ちの整理がつきやすくなる)ところがあり、そういう観点でも不思議な作品だなーと思った。

まぁ思うのは、これからも、あくまでも本作で描かれたような事象が「イレギュラー」な、「映画のテーマ足り得る」社会であれば良いな、ということ。
(社会課題としてネグレクト問題がますます顕在化してきていて、このままでは当たり前の日常にあるものとして、ネグレクトが映画の題材になんかならなくなるのでは、という危機感)

蛇足。鑑賞後の調査で知ったけど、これ、『誰も知らない』の素材とは異なる2つの事件を組み合わせて作品に落とし込んだものだったのね。
(既に似たような事件が過去3件も起きてますやん・・・。こわ。)

以上。取り立ててお勧めはしないが、観ても損はない(のでは・・・)。
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