shibamike

熱き夜の疼き/クラッシュ・バイ・ナイトのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

自分はこれまで生きてきて異性・同性にモテるという経験をしたことが無いので、モテない男とモテる男が物語に登場した場合、迷うことなくモテない男に感情移入する。し、モテない男の末路幸福を願い、モテる男の末路不幸を願う。


故郷の漁港を飛び出し、都会で政治家の2号さんをしていた女性メイが10年振りに故郷へ帰ってくる。昔からメイに好意を持っていた真面目しか取り柄のない漁師ジェリーとチョイ悪オヤジの伊達男アールが美しいメイに心惹かれて…。


漁師ジェリーがモテない男の典型で、アールがモテる男の典型。渋谷109で買い物をしている2000年頃の古(こ)ギャルと2018年最近の小(こ)ギャルにジェリーとアールのことを評価してもらうと恐らく、

------------------------------------------------
2000古ギャル「てかジェリー、マジ優しいだけで、マジ退屈だから。逆に、アール、ワイルド臭プンプンでマジイケメン。余裕でアールの勝ちっしょ。」

------------------------------------------------

2018小ギャル1(プリンちゃん)「ジェリーはぁ~優しぃけど~,ぃっしょにぃても退屈ぅ~。」

2018小ギャル2(ショコラちゃん)「それな!」

2018小ギャル1(プリンちゃん)「ひるがぇってぇ、アールはぁ~危険な香りがしてぇ~濡れるぅ~」

2018小ギャル2(ショコラちゃん)「ま!」

2018小ギャル1(プリンちゃん)「まじまんじぃ」
-----------------------------------------------
(以上、ありったけの想像力でおっちゃんがギャルの会話を想像しました)

という評価になると思う。ファッションにおいてもジェリーのおしゃれは背広の一点張りなのに対し、アールは雑誌「レオン」を定期購読していそうな垢抜け具合。

やさぐれ女メイは「平凡な幸せが欲しい。」と宣い、ダサ男ジェリーと結婚し、子どもも授かる。しかし、平穏な結婚生活には一年でヒビが入る。メイは幸せなはずなのに、真夜中になると家の窓から外の荒れ狂う海を眺め、涙を流す。
荒れ狂う海はメイの心。「こんなん、ホンマのアタイとちゃう!」とでも言いたげ。

そして、ついに二人の結婚生活に決定的な亀裂が入る。きっかけはやはりチョイ悪のアール。メイと二人っきりになった所を狙い、アールがメイに襲いかかる!チョイ悪からただの悪に!
ところで、自分が学生の時分、友人の良川君と「どういう女性がグッとくるか?」とモテない癖にそういう気色の悪い談義をしたことがある。自分と同様にさっぱりモテない良川君曰く「京都弁でやなぁ、最初は嫌がるんよな。でも、すったもんだの末、最後には向こうから求めてくる。こういう女がええと思うわぁ。"アカンどす、アカンどす、アカンどす。アカンどすっ!…アカいいどすっ!!"って感じやわ。"いいどす"はいきなり間髪入れる感じな。」この発言を聞いて、彼とは一定の距離をおいて付き合うようにしようと固く心に誓った。
さて、この意味不明な"アカンどす…アカいいどす!"が本作で登場し、自分は劇場で一人良川君を思い出していた。

台所で洗い物をしていた所を突然背後からアールに襲われたメイは、最初必死に抵抗する(アカンどすアカンどす!)。しかし、アールからの執拗な愛情表現の末、突如自分からアールの唇を求める(アカいいどす!)。
良川君にはフリッツ・ラングと同等の才能があったのかも知れない。

そんなこんなでメイは泥沼不倫に溺れる。「所詮、あたいには綺麗なキッチンでの料理や真っ白いシャツの洗濯なんか、土台無理だったのさ。」って所か。

この映画、普通にメロドラマである。メロドラマならメロドラマでいいのであるが、ラストに理解不能などんでん返しがある。
夫ジェリーへの愛は無くなり、アールと生きて行こうと決意するメイ。二人で話し合い、町を去る日程も決める。二人の不倫を知ったジェリーは烈火の如く怒り狂ったが、「ケダモノどもめ!」と吐き捨て、二人と決別。ジェリーとの子どもを一緒に連れて行こうと考えていたメイであるが、ジェリーが離さない。「子どもは置いておいてとにかく町を出よう。」と急かすアールにメイは突然アールに不信感を抱く。で、なんかいきなり「私は果たすべき役割の責任から逃げていただけだった…ジェリーとやり直すわ!」と、お前頭沸いてんとちゃうか?発言。

駆け落ち直前で掌を返され、怒るアール(そらそうや)。それにも構わず、メイは本当にジェリーの元へ行き、「あなたとやり直したいの…」と告げる。
「死ね、くそ女!」くらいの罵詈雑言を浴びせかけても、お釣が来ると思うが、何とジェリーは「…何も言うな。俺が君を信頼するしかない。」と言って、元鞘。The End。

開いた口が塞がらず、隣のおっさんの様子を思わずパッと見たら、爆睡アンドイヤホン装着のガチ睡眠勢で、またビックリ。

モンローのラフなジーンズファッションはマジでイカシテいた。ジェリーの叔父は中途半端。
shibamike

shibamike