Narmy

イノセント・ボイス 12歳の戦場のNarmyのレビュー・感想・評価

4.7
中米エルサルバドルに1980年、内戦が勃発。
反政府ゲリラFMLNと政府軍との紛争は12年もの間続いた。
舞台はゲリラと軍の狭間に取り残された町クスカタンシンゴ。
そして何より驚くのはこれは実話。

かなり貧しい暮らしではあるけど、学校での授業風景や子供同士で無邪気に遊ぶ姿、そして家族との団欒は、一見平和そうにみえる。
でもいつもそこには不釣り合いな戦車と迷彩服を着た兵士がいる。
外出禁止時刻があり、夜は銃弾が飛び交う。
そして、12歳以上の少年は。。

いつ何時殺されるという事態になるかわからない。
そんな生活の中で、子供達はどのような思いで何を癒しに生きているのだろうか。

全体を通して、チャバという11才の少年の目線で進むストーリーなんだけど、母親として、唯一の保護者として子供達を守りギリギリの精神状態で不安と戦っているチャバの母親の姿にわたしはどうしても感情移入してしまって辛かった。
まさに“残ったものは戦う”なんだな。。

中盤以降は激しさをます。
カメラのアングルがくるくるかわり、私達もその場にいるような緊迫感。
笑顔が消え、どんどん顔つきが大人になっていくチャバ。
母親と再会するシーンのあたりは家族を支える大人の男の眼にしかみえない。
まだまだ体つきは子供なのに戦争がそうさせているのか。。

ラストのクレジットの音楽がどちらもとてもよい曲で、特に後半の曲は劇中でも流れるんだけど、スペイン語がどこか新鮮で子供達の未来に光が差し込んでくるような気がして、少し救われる。

現在もこのような子供達が世界にはたくさんいるということを私達は知らなければならない。
Narmy

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