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鑑定士と顔のない依頼人のluのネタバレレビュー・内容・結末

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

夜中に鑑賞したことで余計にラストがドスンと来た。辛かった…。
しかも監督が、大好きな海の上のピアニストのジュゼッペ・トルナトーレ監督なことにまず驚き。

姉にそうしろと勧められたので、予告もあらすじもレビューも見ないで予備知識無しで挑んだ。ラストの衝撃たるや…。
二度観るべきだけれど、出来れば、二度と観たくないと思える映画。

物語が進むにつれて、前半の主人公を思い出しては気が追いやられ、落胆する…。
彼は頑固で神経質ではあるが、人に頼るということを嫌がることはなく、快く周囲を信じてしまう。だから、辛い。

この映画の凄い所が、主人公からした物語しか描かれていないこと。主人公目線、主人公の心情、主人公に起こる主人公からした出来事。だから、観てる私たちは、主人公に感情移入するしかない。主人公と同じ立場にしか立たされない。
ラストを終えれば伏線はたくさんあったと気付くのに、やっぱりこういうのは途中で気付くことができない。だから謎解きにはならず、予兆も前触れもなく、唐突に真実を突きつけられるしかなかった。
主人公と共に真実を知った後も、何がどのように起きていたのか、タネは描かれない。私たちは、ただ、主人公の末路を眺めるしかない。どんな裏切りがあったにしても、裏で何が行われていたかは一切私たちにも知らせてはくれない。

よく映画であるのは、主人公がピンチに立たされる時、鑑賞している私たちだけは、別の人物目線から真実を知ったりする。だから、展開が進むごとにドキドキハラハラ。
けれど、本作はそういった演出ではない。だから、このどんでん返しに一発で胸を撃たれた。今まで観てきたどんでん返しの映画の中でも、特に胸糞。当分落ち込んだ。それほどこの一撃は重い。他のトラウマ映画や胸糞映画は平気なことが多かったのに、きっと本作は私の中の何かを突いた。

身を滅ぼしたのは自分のせいか、愛を貫いて何が悪いのか。限度?そんなの知るかと突っぱねたくなる。彼に引き返す余裕があっただろうか。愛を注ぎ込んだ結果がこの仕打ち。きっと、もう観れない。
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