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アデル、ブルーは熱い色の&yのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.9
【2014/5/8:HTC有楽町】
同性愛ってことを除けば、凡庸な恋愛話。(それがダメとは全然思いません。)
家柄や文化レベル、育った環境によって、生き方のカラーはある程度決まってしまうもので。他の色に憧れて何色を身に纏おうと、それは容易に染まることが出来ないものである。…恋愛よりも階級社会、彼女らのバックグラウンドに共感した。
エマのアーティスト仲間のパーティで孤独を感じるアデルの心情は身につまされた。わたしもあったわアレ。インテリとクリエイターだらけの集まりで、ただの会社員のわたしは誰からも相手にされず、そんな市井のリーマンを下に見るようなインテリどもなんてクソくらえだわと憤慨しつつも、彼らの中にいると自分自身がすごくつまらない存在に感じられて、けどそんなつまらん仕事をふと俯瞰で見た瞬間に、それがどれだけ自分の尊い一部であるかを思い知り、どうしようもない気持ちになる。…というのを濃厚に映像で見せつけられて、心がキツかったです。しかもそこから壊れてくし。。。なので、そういうインテリへのコンプレックスを、アデルが詩を書くこと等で安易に解決させず、彼女の階級なりの光で浄化するラストは、偽善的でなくて好感もちました。
しかし、ケシシュ監督の「身をかわして」が自分周りで評判良かったせいか、ちょっとハードル上がりすぎちゃったかも。あと長い。例のラブシーンあんなに必要なのか?女性同士のセックスってあんなにおシリをペシペシやるもんなの?あれ気になった。…ってそんなことは取るに足らぬことで。一番のミスは、主人公を原作の「クレモンティーヌ」から「アデル」に改名したことでしょう。クレモンティーヌ=仏語でみかん。転じてオレンジ色の意味でも使われたりする言葉。これ、超重要じゃん。オレンジっつったらブルーの補色。オレンジはブルーになれないって話であって、テーマに関わる部分だと思うのだけど。

どうでもいいですが、もし「スパゲティ食べたくならない映画祭」があったら、S•コッポラの「SOMEWHERE」とカサヴェテスの「こわれゆく女」、そしてこの作品の上映を熱望します。三者三様、見事に「食べたくならない」ッス。
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