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ルートヴィヒのsmithmouseのレビュー・感想・評価

ルートヴィヒ(2012年製作の映画)
3.2
「夢に生きる」鉄腕アトムみたいな髪型の王様、国を破滅に導く。足利義政に北宋の徽宗に浮世離れな芸術家肌の為政者はどうもアブナイ。

ルートヴィヒ2世のバイエルン国王即位直前から廃位後の謎多き死までをディテールも細かに妖しく美しく描いている。

流石、「狂王」「メルヘン王」と呼ばれるだけあってぶっ飛んでる。
「ワーグナーを聴けば敵は武器を捨て、こちらに駆け寄るだろう!」音楽で敵を止めるってマクロスかよ!
普仏戦争で負け側についたにも関わらず「ドイツ皇帝になれないなら会議に出ない。」普通に考えりゃ無理だろ!
突っ込みどころ満載だが、やはりこの映画の見所はノイシュヴァンシュタイン城を普請してからのオカルティックで奇矯な振る舞い。
金と地位が無きゃただの変人やし。
弟のオットーがマジで不憫すぎる。

権謀術数と力で動く、美意識の付け入る隙の無い乱世で芸術の持つ不確かな力に縋ろうとする主人公がいる一方で、同時代のプロイセンに「現在の問題は、演説や多数決ではなく、鉄と血によってのみ解決される。」と言った鬼リアリストのビスマルクが居たのは神様のイタズラか。

激動の歴史となんか憎めないフワフワした王様、その両者に翻弄された人達の映画。
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