ピッツア橋本

ホドロフスキーのDUNEのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
4.4
“DUNE is not done yet.damn it!”

幻のボツ映画、アレハンドロホドロフスキー版『DUNE』。
なぜ本作は出来なかったのか?もし出来てたらどうなっていたのか?という観点から迫ったドキュメンタリー映画。


『ホーリーマウンテン』『エルトポ』などのカルト映画で知られるホドロフスキー。実は彼には70年代初頭に巨大SF小説『DUNE』を実写化する計画があり、2年以上の歳月をかけて、最高のスタッフを集めて究極の絵コンテ資料と脚本を構築し、時にはサルバトーレダリやミックジャガーなど大物スター達との出演約束に漕ぎ着けていた。

めちゃくちゃクセの強い英語と母国語を織り交ぜながら、その当時のドラマチックなエピソードをカメラに訴え続ける85歳のホドロフスキー。
その目の輝きが尋常じゃなくて、内容は負け犬の遠吠えに聞こえなくも無いのだけれど、とにかく聞き入ってしまう情熱がある。

心から
「スターウォーズより先に本作が世に出ていたらどうなっていたのだろう?デヴィッドリンチじゃなくて、ホドロフスキーがメガホンを取っていたらどんな映画『DUNE』を我々は体験できたのだろうか?」
と夢想した。
ただこの伝説の脚本絵コンテ資料がハリウッドのどこかのスタジオで読まれ、その技法や情熱が模倣され流布していく存在…いわば魔法のレシピになっている事自体が夢のある話な気がした。

観るものにガッツと敗者の美学を教えてくれる映画でした。
ピッツア橋本

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