あっさりゆで卵

邪願霊のあっさりゆで卵のレビュー・感想・評価

邪願霊(1988年製作の映画)
3.8
さあ。やっと観れました。『邪眼霊』

とあるアイドルの新曲制作からPV撮影までを追った密着ドキュメンタリーの撮影中に奇妙な出来事に巻き込まれて行く。モキュメンタリー系ホラー。

ほぼ後頭部しか見えないディレクター役で若かりし頃の竹中直人が出演している事でもお馴染み(?)

本作、なんと言ってもJホラー表現の基礎を築いた記念碑的作品であります。同年には『死霊の罠』なども公開されているので、88年はJホラー表現が産声を上げた年と言えますね。

『回転』や『たたり』と言ったゴシックホラーの表現を日本的に落とし込み、本当に霊がいるとしか思えない表現を生み出しています。俗に言う小中理論と言うやつですね。

顔が見えない程度、遠くに佇む女性。一瞬映り込む霊。どれも荒削りながら、しっかりと怖い。というかこの80年代のザラ付いた画面が余計に観てはダメなものを観ている感じがして堪らないです。

本作は古典的な因果応報ものでもある側面、ドキュメンタリー風な撮影と新たな恐怖表現を取り入れた、革新的なホラー映画だったんだなと思わされます。

この作品から生まれたJホラー表現の可能性が、『リング』『呪怨』などが発展継承し確立して行くんですね。

あとエンドロール後に入る竹中直人の全力の顔芸が最高でした。