世界で2番目の詐欺師の物語を、世界一の詐欺師オーソン・ウェルズが再構築したフェイク・ドキュメンタリー。
正確には、ドキュメンタリーの後ろに創作を、それも演劇的手法による再現という形で添付することで、作り話にリアリティを持たせると同時に、ドキュメンタリー側の信憑性に疑問を生じさせる「トゥルーについてのストーリー」(トゥルーストーリーではない)。
そこには、「真贋なんてどうだっていいじゃないか、面白ければ」という、生涯を通じて天性のペテン師だったフィルムメーカーの高笑いも聞こえる。
「真の芸術作品に署名はない」「宇宙はいつか消える。我々の歌は忘れ去られる。でも気にするな。歌い続けろ」ほか、思わずメモりたくなる至言の数々は、オーソン・ウェルズの独擅場。
構成も遊び心にあふれてるし、女性を目で追うスケベ親父たちの視線ばかりをコラージュしたタイトルバックも楽しい。
おまけに、彼自身のペテンの最高傑作「火星人襲来」までこれ幸いと絡ませてくるし。
すべての説明が終わった後、「冒頭で皆さんにお約束した“1時間”はとっくに終わっている。17分も前から」ってもう、シビレるがな。