オーソン・ウェルズの フェイクの作品情報・感想・評価

「オーソン・ウェルズの フェイク」に投稿された感想・評価

tak

takの感想・評価

4.0
エルミア・ホーリーという贋作画家と、彼の伝記と大富豪ハワード・ヒューズのニセ伝記で一山あてたアーヴィング。この2人の"フェイカー"の姿を追いながら、映画作家である自分自身も贋作(フェイク)を作る人間だと重ね合わせていく。ラジオドラマ「宇宙戦争」が生んだ伝説の大パニックを、ウェルズ自身が語るのは実に面白い。刺激的な編集、アイディアに満ちた演出が光る、ウェルズ晩年の秀作。虚と実を見極めるよりも、それを楽しむかのような視点がここにはある。ようわからんけど、すげぇ。この映画にはこの感想こそがふさわしい。とりあえず、感じろ。
イビサ島で活動している贋作専門の画家が、自作の存在意義と影響力を語っていく。「すべての芸術家は嘘つきのプロである」という、オーソン・ウェルズの持論を説いている、フェイク・ドキュメンタリー作品。

かつて実在した贋作画家エミリアと、エミリアの研究家アーヴィングの双方に単独インタビューを敢行。エミリアの生態を観察しながら、その奇人変人ぶりを見世物的に明かしていく。嘘で塗り固めながら世渡りできてしまう人間の、強靭な精神力と行動力には驚愕させられるばかり。

オーソン・ウェルズ製作のラジオドラマ「宇宙戦争」(本物の実況中継だと勘違いしたリスナーが大パニックに陥った作品)へと落とし込みながら、それっぽい論理を紡いでいく語り口が心憎い。後半部の「あれれー?」という感覚こそが虚実の皮膜そのもの。

贋作・偽物から霊感を得て、次の創作に繋げていくという「インスパイアの連鎖」について、深く考えさせられる作品。あらゆるジャンルに通じる普遍性があり、個人的には大瀧詠一のアルバム「A LONG VACATION」を題材にした「名盤と言えるのか論争」を想起させるものがある。
まるで60年代のゴダールが撮ったかのような、映画を含めた虚構について考えさせられるオーソン・ウェルズ後期の傑作。

タイトルの通りフェイクドキュメンタリーだが、前半は実在のペテン師を起用したインタビューがメインということもあって、どこから脚色や演出が施されているのか良い意味でわかりにくいところがあり、後のキアロスタミやパナヒの作品に通じる面白さがあった。

しかも途中で話題に上がるハワード・ヒューズに関連して、オーソン・ウェルズ自身や彼を知るジョセフ・コットンらが市民ケーンやそれ以前の活動について語る場面も出てくるのだけど、彼らの遺した伝説を彼ら自身が述べているのは実に貴重で胸が熱くなった。

そして後半はピカソと謎の女を巡る話が展開されるのだけど、ここからこの作品の真骨頂とも言えるシーンに突入し、その工夫の施され方にはオーソン・ウェルズの歳を食っても健在の奇才ぶりを感じて唸らずにはいられない。

作品の存在を知ってから期待はしていたものの、その期待を遥かに超える哲学的力作となっていたのは流石の巨人オーソン・ウェルズだった。
あおい

あおいの感想・評価

4.0
たのしい〜〜!靴の代わりにティシューボックスを履くなんて思いつくの天才ね
dramatica

dramaticaの感想・評価

4.5
アートワールドの傲慢さを痛烈に茶化しながらも、古今東西の映画的技法をこれでもかと披露しつつテンポの良い軽みを帯びさせる離れ業で練り上げられた傑作中の傑作。宇多丸のオールタイムベスト入りにも納得した。ラストは"粋"。
ドラマでもドキュメントでもアートでもない、映像を使った不思議なエンタメって感じがする
ほし

ほしの感想・評価

3.0
あなたのモノマネが上手いのはあなた自身。どうせ全部芝居ですよと振る舞うウェルズの孤独/孤高のせいで他人の作品さえ自作のように扱う我田引水もパフォーマンスと化す。
ちば

ちばの感想・評価

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面白いなー 楽しかった
いつの間にかフェイクであることを忘れて見ている自分がいて、気づいた瞬間「あ!苦笑」ってなってる。
膨大な情報量に対して「嘘」という無力化するキーワード。あまりにもアンバランスだけど最後はニッコリ楽しく見れました。
遊び心のある作品だという事はわかります。
冒頭の惹きこまれる演出に魅了されながらも
この作品について語れるだけの知識が
自分にはなかった…
皮肉ではなく
この作品を堪能できる人が羨ましい。
なにがフェイクで何がフェイクでないのかわからない。ただ、贋作ということが、一つモチーフとなっている。つまり、ベンヤミンの複製技術時代の芸術として、映画が擁護されるのならば、贋作=フェイクという存在は、それに近いものであるということか?
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