YUSUKE@アイアンマンの人

ファインディング・ドリーのYUSUKE@アイアンマンの人のネタバレレビュー・内容・結末

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

前向性健忘のケのあるドリーが、ふとしたことでなぜ前作でマーリンと出逢ったときあの場所にいたか、自分はどこからやってきたのかを思い出し、ニモ親子ともども彼女の両親を探すことになるという話です。

今回、表のテーマが「記憶」で、『ニモ』で通底していた裏テーマの「障碍」と合わさっているにもかかわらず、『インサイド・ヘッド』に続いて、やや難解なテーマを誰もが楽しめる娯楽作に昇華したピクサースタッフの手腕はみごとです。

今回、マーリンが(前作の)サメは何匹?というネタをふることで、一瞬僕らははたしてマーリンのような一見健常者でもその記憶や言うことは正しいのだろうか。であったり、ドリーが彼らからはぐれてしまった後、記憶が目に入るもので次々と書き換えられていくことで、サポーターなしに彼女は無事に目的地にたどり着けるのだろうか。というサスペンスが最後まで続くので、見る者を飽きさせない作りです。

ただハンクのキャラが魅力的な反面、非常に保守的な性格(海にはいい思い出がない)があまり活かされなかったのが残念かも。これは自分の見落としかもしれません。(もちろん7本足というのは四肢欠損というのは重々理解していますし、推察ですが多くの廃棄物や、クレジットで常に人間のものに触れているのが映されたのを見るに、その原因が人間が無秩序に海にものを捨てることになっているとは思うのですが……)
というか、「冒険したのはもう二度と冒険しないようにするためだ」というマーリンに対応させるためのキャラですね。
ガラス張りの中で静かに暮らしたい、というのは『トイ・ストーリー2』のプロスペクターにも通じますね。前作で「何か起きなきゃ人生つまんないわよ」といったドリーでしたが、彼女の「人生なんて偶然で出来てる(生きることそのものが冒険である)」ってポジティブなメッセージ、好きです。

ところで、隔離所から水族館に送られるというのに、ナンヨウハギ以外はおおよそ病気の魚たちを見て、死のイメージを感じた人も多いかと。ちなみにトラックのナンバープレート「CALA113」は今更説明不要の教室名ネタですね。

そうそう、『トイ・ストーリー』といえば、(『ニモ』の歯医者の姪っ子もそうでしたが)ピクサーが『ティン・トイ』の頃から描いてきた、「子供=怪物」ネタは本作でも健在。げに恐ろしいクリーチャーとして描かれてます。(スタッフたちが新聞のコラムニストなんぞ比較にならないくらい恐れる評論家でもある)

ちなみに序盤からエンド・クレジット後にいたるまで『ニモ』の小ネタがまじっているので、前作を鑑賞してからご覧になることを強くお勧めします。でもタンク・ギャングのみなさまはビニール袋に1年近くもくるまったままで、呼吸とかどうしてたんだろう。

ちなみに吹き替え版の「八代亜紀です」は、海外版だとシガニー・ウィーバーらしい。ただこれ彼女が『WALL-E』の船内アナウンスのナレーターってネタ(多分)だから、吹き替え版はふつうに小山茉実さん(アラレちゃんとかバラライカで聞き馴染みあるじゃない?)でよくね?と思いました。

パイプ友達=pipal。

あと最近ディズニーは下ネタに寛容化してきた/表現の限界に挑戦する作風が流行らしく、『ベイマックス』の「あそこの毛」ネタにつづき、「子作りはまず……」ネタが登場。もちろん子供には悟られないレベルなのでご安心ください。

あとから追記します。