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ファインディング・ドリーの655321のレビュー・感想・評価

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
3.6
前作の『ファインディング・ニモ』は父が子を探すお話。
今作『ファインディング・ドリー』は子が親を探すお話。

この“子”は生物学的な意味での“子”であることは勿論だが、社会通念上“守られる存在”という意味も付与されている。
ドリーもニモも、子であり障害者だ。
今作では子が親を探す話になったことによって、より切ない映画になっている。
ドリーが親に会って伝えたいことは
「私は大丈夫だよ」
ということだと思うから。
なんて優しい視点だろう。
なんて強い視点だろう。
ドリーは記憶障害があっても、記憶障害があることは覚えている。
ひとりでは出来ないことがある事を知っている。
それでも周囲の助けを借りながら、いや、だからこそ生きていけることを伝えようとしている。

最後に、やっぱりピクサーって良いなあって思ったシーンを。
ドリーのせい(少なくともドリー自身は思っている)でニモが怪我をしてしまい、マーリンがドリー(の障害)を揶揄するシーンがある。
障害のせいで迷惑をかけることがある、ということから逃げない姿勢が素晴らしい。
障害があったって気にしなきゃいいじゃ〜ん、なんてお花畑な描写で逃げずに真正面から受け止めている。
“普通”は迷惑をかけたら気にするし、苦しむ。マーリンと同じようにドリーも苦しいんだ。

ピクサーは凄い。
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