g

オール・イズ・ロスト 最後の手紙のgのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

わたしは海と空が非常に苦手です。どちらも果てしなく広い、そして人間など屁でもない自然の力が蔓延る場所…。ビーチにいる分にはいいのですが、少しでも沖の方に行くのは恐ろしい。波にさらわれる危険があるから浮き輪でプカプカと浮くのも怖い。別にカナヅチというわけではないんです。水泳は3歳からずっとやっています。溺れた経験があるわけでも無いんです。でもそんなのは関係ない。怖いんです。

そしてこの映画も勿論怖すぎました。海上を漂流していたコンテナが主人公のヨットにぶつかり、ヨットに穴が開いてしまう。航法装置が故障。無線は使えない。雨。風。波。

どこへ流されるのかもわからない恐怖。いつヨットに乗っているのが不可能になるかの恐怖。食料がなくなっていく恐怖。体力がなくなっていく恐怖。自分が助からないかもしれないという恐怖。死の恐怖。
終始セリフのないシーン。水の音とヨットが軋む音、主人公の息遣いだけ。孤独さを痛い程感じました。そしてまるで自分がその状況に陥ったようだった。

ヨットが沈んでしまった時は、不覚にも「ああ、せっかく高いお金出して買っただろうヨットが……」と思ってしまった。主人公の顔が何とも悲しそうに見えてしまって…。このヨットであそこへ行こう、ここへ行こう、なんて考えてたのかな、なんて思うと本当に悲しくなってしまった。

主人公は、騒ぐことも喚くこともなく、冷静にやるべきことをやっていた。しかし時間が経つにつれて主人公が苦しみ、苛立って行くのがまた観ていて辛い。そしてそれでも生き残る為に、今出来ることをやる。

貨物船が行ってしまった時は、観ていて気が狂いそうだった…。しかも二回も…。

でも最後、よかったよかった。あれ主人公の幻覚とかじゃないよね‼︎?笑

主人公とともに苦しんで、悲しんで、悔しがって観られたのは、セリフの無い画だけを魅せた役者さんの演技力と演出の賜物です。

1番印象に残っているのは水平線です。周り全て水平線が見える。怖すぎました。

でも1番怖いのは、あの状況になったら何もできないであろう自分ですね…。

そしてまた海が嫌いになったのでした。
g

g