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君の名前で僕を呼んでのgのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.0

小さな吐息や服の擦れる音などの生活音。静かな映画だからこそそういうところがより聞こえてくるし、役者さんの表情はより鮮明に見えてくる。舞台が北イタリアの"別荘"という設定なだけあって、外でピクニックのように食事をするシーン、水辺で遊ぶシーンなどの観ていて気持ちの良い映像が沢山ある。全身に自然を浴びて生きている映画。

"イタリアにある別荘"に憧れしか抱かなくなったし、水辺に椅子を置いて のんびりと本を読みたくなった。アミハマに肩を叩かれて、手を引かれて、水遊びしたくなった。そして夏の間中のびのびと趣味に時間を割きたいと思った、そんな映画。

エリオとオリヴァーの二人が恋に落ちる瞬間が、明確にはわからないのがいい。いつのまにか目で追って、匂いを求めて、相手に想いが伝わってて、キスしてた、っていう 時間が区切られず良い意味でだらだらと流れて、だらだらと恋に落ちて行く雰囲気がたまらない。

題名の「君の名前で僕を読んで」は、君の名前が色んな人に呼ばれることで、君の存在を僕に知らせて。みたいな意味なのかなと漠然と思っていた。
自分がここで本を読んでいたら、向こうの方で自分の両親や知り合いが「オリヴァー」って呼ぶ声が聞こえて、オリヴァーが来たことに気づいて顔を上げる、その幸福感たるや、みたいな。

何にせよ、「自分の名前を呼ばれるよりも、君の名前を僕に知らせてよ」ってなかなか気づけないところ。普通なら「私の名前を呼んで」って言っちゃいそうなところを、「君の名前を言って」って深すぎる愛情がなきゃそんな発想生まれないと思う。電話に出た時、家のベルが鳴って外へ出る時、そして第三者から、君の名前が聞きたい。「オリヴァーだよ」「エリオだよ」という言葉を待っている。なんて素敵な愛の言葉。
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