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ブリスフリー・ユアーズのsskのレビュー・感想・評価

ブリスフリー・ユアーズ(2002年製作の映画)
4.4
アピチャッポン・ウィーラセタクン『真昼の不思議な物体』の次の作品にあたる長編第二作目。
男女の心の機微を描いていた、ことは間違いないが、何でもないような映像の中に見出すドラマというよりは、その風景に溶け込むかのような感覚をもたらす瑞々しい映画だった。光りの墓の脱糞シーンのように、勃起する男性器を接写したり、性交の様子をそのまま映し取ったりとなかなか視覚的に強烈なシーンを見せてくれるのだが、彼曰く「私たちが生活の中で行なっている普通のこと」なのであり、まさにその様に生として浮かび上がってくるシークエンスが心に染み渡ってくるような体験を得た。映画の随所では他作品同様、政治性をも映し出す彼の映画のスタイルがこの時点で確立しているようにも思われる。ラストの数ショットでは、まるで山麓の上方に佇む雲の動きを読み取ることができるかもしれないと思わせるようであり、観察的映画としても感無量であった。
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