ninjiro

フォックスキャッチャーのninjiroのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.1
俺の生涯。

俺はいつも自分で、
他人からでくの坊だと言われてると思ってた。

強いって、一体何なんだ?
俺の周りにいる奴は、一体誰なんだ?
兄貴の事は愛してる。言葉には出来ない程に。
でも、俺には自分の立ってる場所が解る。
今までの俺は何処にもいない奴。
あっちこっちに行ったり来たり。
たまたま見つけた身体の強さ。
でも誰も俺の強さに、努力に、
心から共感してくれる人は居ない。

俺は圧倒的な強さが欲しい。

出来ることなら身体ひとつで、
誰かから寄せられるどんな気持ちも
一切合切受ける事もなく、
超然と俺一人、そこに立つ事が出来たなら。
そうしたら、やっとそこから始められる。
やっと、俺は生まれ変われる。
俺にだけ向けられ、俺だけが抱きしめられる、
本当の愛を見つけられる、そう思うんだ。

きっとそうだ。



私は何でも欲しがり過ぎたんだろうか。

何でも持っている、皆がそう言うのは解る。
しかし、私がこのフォックスキャッチャーで送るのは、
心の交わることの無い空虚な暮らし。
しかし、父や母が受けてきた多大なる賞賛は、
私がそのまま受け取ろう。
偉大なる我が国、それを支えた我が家。
それが私の全てだ。

君たちの愛に溢れた檄、抱擁、目線のやりとり、
私はずっと見てきた。
羨ましい?それはちょっと違う。
でも、私に何もないのは確かだ。
期待される者に、私が期待する自分に、
私は成れないのを知っている。

私は、君に、君たちになりたかった。
君たちと、同化したかっただけなんだ。
君は、君たちは、どうして私を愛してくれない?
あんなに喜んでくれたのに、
あんなに愛を与えたのに、

どうして私には、同じように愛をくれないんだ?



俺の宝物。

俺には何より大事なものがある。
第一に、目の前のお前たち。
お前たちは俺の生きる希望。
何物にも代え難い、最高の神様からの授かり物だ。

どんなわがままな事を言ったっていい。
俺の耳はお前らの声を聞いて、
ある時愛の雨を降らせるだろう。
それがいつかはわからない。
雨続きじゃ嫌だろう?
お天気は、神様が決めるのさ。
大丈夫、昨日の夜、お前らが寝静まった後、
神様に電話しておいたよ。

そして、二番目になったが、
俺がこの地上で最も愛する生き物。
いつも俺を困らせて、
何時まで経ってもティーンの頃のまま。
見るたびに思うよ、
君は俺がケツから産んだ最初の子どもみたいだ。
君は俺の事を一番知っててくれる。
愛を込めて、
いつもありがとう。

いつまでも、いつまでも、愛しているよ。
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