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5つ数えれば君の夢の&yのレビュー・感想・評価

5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)
4.3
【2014/3/16:シネマライズ】
萩尾望都ミーツ大林宣彦、もしくは大島弓子ミーツ相米慎二。高野文子的でもあるな。川本真琴も系譜に入れたい。何れにせよ、大変好みなハードコア少女ブンガクでした!

少女の中に存在する宇宙の膨張は、表面張力ギリギリの緊張をなんとか保ちながらも、ある瞬間どっと溢れ出す。噎せ返る花の香り、眩し過ぎて直視できない光、地を叩く足音、そして、憧れも悪意も朝も夜も夢も全部ぶっこんだ「言葉」。それらは彼女たちの瞬間と永遠に他ならない。
確かに演劇的(エンドロールはカーテンコールそのもの)ではあるが、決してフィクショナルな世界ではなく、あの多感な年代の少女なら誰もが持ち得た宇宙をトレースした、むしろ完全なるリアリティのダンス‼︎
リアルすぎるゆえ、あの頃の自分が持っていたはずの気高さを目の当たりにして、居心地悪い妙な気持ちになる。輝くことを強いられたあの年代からの解放と安堵、そしてそれを言い訳したくなるような、なんとも言えない気持ち。

ちょっとなーと思ったのは、あのプールの場面。飛び込みの処理、なんでああいう風にしたんだろう。あと、劇伴はもうちょっと静かな方が体育館のシーンが引き立つ気がする。「さく」と「りこ」の間にキャッキャした馴れ合いな雰囲気が出過ぎちゃってるのもわたしはちょっといただけなかった。彼女らは精神的なつながりを強調するだけで充分だったのでは。(「さく」のキャラなら「りこ」とは呼ばないと思う。親しくなっても「斉藤さん」のままじゃないかな。)
しかしまあ、そんなのは些細なことで。所謂「アイドル映画」のエクスキューズを軽〜く飛び越えた狂作。斉藤由貴目当てで「雪の断章」観に来たアイドルファンて終映後どんな表情してたのかなー、って思ってたけど、今作にて追体験できました。

よく引き合いに出される「櫻の園」とは似て非なるものだし、「桐島〜」とは全っ然違うと思ったけど、見終わったあと人物相関図作りたくなるとこは一緒。
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