てづか

STAND BY ME ドラえもんのてづかのレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん(2014年製作の映画)
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酷いとは聞いていたけど……
観る前は、ゆーてもアホな私のことだから泣いてしまうんじゃないか、と少し思っていた。
実際観て、、、泣くどころか、めちゃめちゃ引いたし、怒りがわいた。

ちなみに、ドラえもんは小さい頃にテレビでなんとなく流れていたらみていた、くらいの存在でした。なので解釈が違うところはあるかもしれません。その点については先に謝罪をしておきます。

のび太と結婚後のジャイ子について。
借金背負っても傍を離れなかったジャイ子はどう考えてもいい女だったし、劇中に出てくるジャイ子と子供たちの写真をみても、ジャイ子との結婚生活自体は幸せそうだった。なのに、さもジャイ子と結婚した"せい"で不幸になった、と言いたげなストーリーが気に食わない。
むしろ、のび太なんかと結婚して不幸にさせられたのはジャイ子の方だろうが。

ジャイ子は被害者だ。その上、本人の預かり知らないところで運命を変えられてしまっている。可哀想でならない。むしろジャイ子を主人公にして映画を撮り直して欲しい。きっと、借金を抱えてもあんなふうに子供に囲まれて笑顔でいられるジャイ子なら、「それでも私は幸せだった」と言えるだろうしその方がよほど説得力がある。


しずかと結婚したからなんだというんだろう。
しずかと結婚することが"イコール幸せ"になるのは何故か、というところを明らかにして欲しかった。

そして、これは最早ドラえもんという、物語の構造自体を否定することになるかもしれないのだけど。のび太が何一つ自分の力で解決をしないことがとても嫌。それならば、正規ルートであるジャイ子と結婚した未来ののび太の方が余程いい。
自分で会社を作ったりしていて、たとえそれが失敗でも、その方が素晴らしいじゃないか。

というか、あそこまでしずかを思ってのび太が泣くなら、しずかのなにがそんなに好きなのかを描写してくれよと思ってしまった。顔の良さしか言及してないのはイカンでしょう。
結局。顔のいいしずかと結婚したら幸せ。顔の良くないジャイ子と結婚したら不幸せ。
そういうことなんですね。この映画を作った方々が言いたいのは。と思わずにいられない。

未来のしずかに子供がおしりを叩かれている写真なんて、全然幸せそうじゃない。
むしろ、暴力的だし恐ろしいし、子供に暴力を振るう親が何より嫌いだから吐きそうになる。

しずかの父親のセリフもほんとに説得力ない。あのセリフ通り、のび太が人の悲しみのために泣ける人間だったなら、映画の冒頭で自分のことを差し置いてジャイ子の不幸を思って泣く、とかしとくべきだろと思っちゃった。


事前に酷い映画と聞いていたから余計にそういう目で見てしまっている部分もあるとは思う。
それでも、これは酷いとハッキリと言える。
そもそも、泣ける泣けないで映画を売ろうとしないで欲しい。泣けるからなんだっていうんだ。
映画のことを未だ理解出来ていない私にだって、これは違うと分かる。

観ていくうちに思ったのは、正規ルートを映画にした方が良くないか?ということ。

ジャイ子との結婚生活。子供は沢山いて、家計は火の車で。生活は楽じゃないが、一応は幸せで。それでも生まれながらの性格上、人の下では働けなくて。働けなくても、家族を養う責任は常に付きまとってきて。ならばと、一念発起し会社を立ち上げるも、一転、借金を背負うことになって。より一層苦しくなる生活。逃れられない"貧乏"のループ。そんななか、ふと隣を見ると、ジャイ子がいる。こんなどうしようもない男を見放さないジャイ子がいる。そして、子供たちがいる。自分の生き方を見つめ直すのび太。ジャイ子のために、子供たちのために再度立ち上がり、いちから働き始める。上司からは叱られ、後輩からは舐められ、借金に常に圧迫され、社会に存在も認められないが、それでも耐える。なぜなら、そんなどうしようもなく惨めな自分を、まるごと受け入れてくれた愛に応えたいから。自分のためにと文句も言わずひたすら耐える目の前の女を、心底に幸せにしてやりたいと願ったから。そうして苦労してはじめて父親として、男として、人間としての在り方を確立していく。

そんな物語の方が良くないかな???
これだったら、わたしは素直に応援ができるよ。
てづか

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