Bellissima

オール・ユー・ニード・イズ・キルのBellissimaのレビュー・感想・評価

4.5
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』@109シネマズ川崎

これ大好き!無限ループによって最強戦士となっていく男の数奇な物語。ままならない世界を知ることから始まる未来への戦い。物語ではなくシチュエーション(境遇)描写の力、映画本来の魅力はやっぱそこじゃないかと徐々に世界を見出だしてゆく眼差しと気配に胸熱!

状況を転がすために頻出されるあれこれ、ワンカット内で特殊状況におかれた人物の心情の変容を表現する手法、サクサクと進む展開そのスムーズさ、主人公の懸念フル稼働する思考と体験の蓄積、ジャンルゲームの高揚部分を抽出、その全てが「面白さ」に結実していく

階層を重ねてゆくのち生命の躍動たる「突入」に共感、ループもの映画の引用のパッチワークによる生成に人間味を添えてほどよく潤い(女戦士との関係に)滲む心傷の痛みがすっと胸に入り叙情になずむ、いつしかエモーショナルな情景が。超人一日にして成らず。

沈ませないスムースな進行に感心、終始漂う緊迫感継続。最終局面へと立ち向かう展開にやや綻びが出てしまうがエンタメ精神忘れず上等の仕上がり。何より面白い事に心血を注いでいて嬉しい。この途方もない「生」への光線、そしてトムの笑顔を見よ!そして浴びよ!

《雑感》E・ブラントの憂いと聡明さが印象深い。彼女の腕立てからグイーって反り上がるあのポーズが目に焼き付いて焼き付いて。何でしょう筋肉の美しさと確りとした骨格の上で肉が蠢くあの感じ。性交シーンで女性の背中を執拗に撮るスケベな監督の目線に似たものがあった。あれフェチだわ~

《雑感》ハリウッド産大作でありながらB級感漂う問答無用のエンタメというのが近年トム映画に定着しつつあるイメージ。『オブリビオン』の記憶の書き換え→『月に囚われた男』、今回のループもの→『8ミニッツ』とダンカンジョーンズの作風に近いものが好みの様で、この2人がタッグを組むなんてのも見てみたい
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