ベビーパウダー山崎

XX ダブルエックス 美しき獣のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

3.0
キャメラマン仙元誠三の威迫に怯んだのか、やり過ぎないつもの池田敏春らしさはそれほどなく真っ当なヤクザVシネにおさまっている。仙元はダブルエックスでポルノ作家と組むのは小沼勝に続いて二作目。仙元自ら語っているが確かに濡れ場はうまくない。ギラギラとした夜の街を切り取る美しい画、人間をどこまでも追いかけて映す熱量と比べると男と女の絡みをはっきり撮れていない。たけし映画の白竜、阪本順治映画の大和武士、別々の川で育った二人の役者が池田敏春の暴力映画で合流してどう演じるのか。その二人をどう撮るのか。そんなことをぼんやり考えながら見ていた。
無意味に水を張った拷問部屋や頭を撃たれて飛び散る脳髄は池田敏春の世界。女殺し屋が海から現れて海に帰っていくまで。暴力や血を躁状態だとしてそれと対比して鬱的な海、つまり水のイメージ=死(安らぎの場所として)が池田敏春にはあったはず。