Takaomi

チョコレートドーナツのTakaomiのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0
幻想的でどこか寂しい夜の街を一人歩く少年。
彼の後ろ姿を見ていると、どこか希望に満ちているような、対照的に悲しみで潰れそうな誰かを求めている印象も受ける。

彼の名前はマルコ。
ダウン症で薬物依存の母親から育児放棄を受けて、本当の愛を知らない。

そんな身寄りのない施設にしか行くところのない孤独なマルコに出会ったゲイカップルのルディとギャレットは、親として彼を育てていくと決める。

ルディは自身がマイノリティということでこれまで耐えられない差別や偏見を受けてきた。

だからこそ、マルコには障害があっても自分のようには苦しく生きてほしくはないと思っていたと思う。

ルディとギャレットがそんな彼を思って、部屋を用意してあげる。
普段、感情をほとんど出さないマルコが初めて涙を流し、こぼれるほどの笑顔を
みせるシーンを思い出すと涙が出る。

ただただ大好きなチョコレートドーナツを食べさせてあげたかっただけなのに。
ハッピーエンドのおとぎ話をしてあげたかっただけなのに。
幸せで甘い愛を注いであげたかっただけなのに。

それを認めてくれなかった社会。

これは1970年に限った話ではないと思う。
僕も、障害を持つ一人だが、日本でも30年ほど前は、映画館に行くことすら断られたそうだ。

その頃と比べれば、差別や偏見を見ることは少なくなり、住みやすくなってきているが、重度な障害者が仕事や自立をすることメディアに出ることはまだまだ埋もれてしまっている問題である。

そんな3人の優しさが詰まっている素敵なプレゼントでした。

Any day now
「 いつの日にか良い時代が来る。それは明日にでも。」
Takaomi

Takaomi