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フルートベール駅での&yのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
4.0
【2014/3/26:HTC有楽町】
以前BBCか何かで、この映画の元ネタの事件ではないけど同じく無罪無抵抗の黒人少年が射殺された事件を受けて、オバマ大統領が「彼(=射殺された少年)は私の息子だったかも知れないし、30年前の私だったかも知れない」とコメントしていた。重かった。
近頃多い(気がする)黒人差別についての作品は過去の事柄をテーマにしたものが大半だけど、こちらは現代の話。
ひたすらドキュメンタリックに時間をかけて主人公オスカーの日常を描写するので、まるでオスカーが自分の友人や親類のように感じてくる。それが狙いなのでしょう。だからその先のラストに起こることが、唐突過ぎて一体何が起きたか理解できない。なんでこんなことになっちゃうの?全然意味わからないよ、と。そうしてるうちにあっという間に映画は終わるので、憤りだけが残る。
オスカーが轢かれて死にそうな犬を助けようとするシーンで、でも息絶えてしまったあとはあっさりその場に放置していく。泣き崩れたりお墓を作って花を供えたりしない。観終わったあと思い返すと、単なる「オスカーいい奴」描写ではなく、彼の「生きている」ことへの執着を呈示したものだったんだな、と改めて気づく。
もし自分が、黄色人種だからってだけで話も聴いてもらえず銃を向けられたら。想像ができない。でもこれは、黒人大統領が祝福のもと誕生した現代に実際起きてることで、それを「(黒人だから)しょうがない」と黙認する世論すらある。東京にだってヘイトスピーチを喚く日本人がいる。
自分を優位に立たせるために、誰かを貶める行為。一番恐ろしいのって、人間の自尊心なのかも。
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