kotchan

プリズナーズのkotchanのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.0
娘が忽然と行方不明になる2つの家族。
とりわけ、娘アナの父親ケラー(ヒュー・ジャックマン)の常軌を逸した行動に焦点を当て、平穏な田舎町で突然起こる不幸な事件が物語を駆動させていきます。
ケラーの行動は賛否両論ですが、親の立場からすればある程度の理解はできなくもない。それ以上にヒュー・ジャックマンの鬼気迫る演技に圧倒されます。

娘の安否を思うあまり、ケラーは内なる狂気を抑制できず激情を表面化させますが、その根底には、いかなる試練に直面しようとも信仰を貫けるかを問うテーマが設けられています。
それと対峙するように、信仰を捨てた真犯人=サタンとの構図を築き、ロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)を第三者=異教徒として配置させ、事件解決に向わせます。
ケラーとロキの"動と静"は見事なコントラスト!

日常的に信仰の下地があるアメリカと信仰意識の薄い日本とでは温度差があるのは当然で、キリスト教や聖書の知識がないとかなりわかりにくい作品ではあると思います。特にヘビ🐍の扱いは意味不明かも。
しかしながら、それらの知識がなくともひとつの「クライムサスペンス映画」として充分に楽しめますし、だからこその良作とも言えます。
ケラーとロキが別々の路線で犯人に迫るミスリードを誘い、終盤で2つを交錯させると思わせながら一旦は交わらず、その直後に真犯人に辿り着く展開はどうしても引き込まれますね。

これまた賛否ある唐突なエンディングは『複製された男』と重なり、同じくギレンホールの含みを持たせたラストカットでの終幕は、いかにもヴィルヌーヴ監督らしくて素晴らしい(๑˃̵ᴗ˂̵)
kotchan

kotchan