yunumata

思い出のマーニーのyunumataのレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
4.0
素晴らしい児童文学であると同時に、謎に満ちたミステリーでもあり、最後には露骨に“泣かせ”なクライマックスも待っている……という、かなり「ジブリ」の範疇からはみ出した異色作。映画館で前知識なしに鑑賞して、原作も読み込んで改めて映画を見直すと、やっぱり後半部分の見事さが出色だった。全部知ってる状態で鑑賞すると、森山良子の歌声が聞こえてくるだけでも~ウルウル来てしまう。やっぱり物語が、すっごく、すっごくいいんですよね……。僕も、おばあちゃん子だったので……。「あなたは愛されて生まれてきた」ことを知る、不思議な不思議な、輪っかの中の永遠の絆。あのシーン、この瞬間のマーニーの気持ちを考えてみるだけで、思わず胸が締め付けられてしまう……。
一方で、映画前半はストーリーに乗り切れない場面も、多々あった。冒頭シーンから過剰なモノローグが重ねられ、観りゃわかるよ……なんて台詞までもをいちいち口に出す杏奈には、無口な少女のイメージがまるで感じられない。マーニーとのファーストシーンもちょっと慌ただしくて、もしかするとこの辺~ダンスシーンまでの間に、ポスプロの段階で尺がつままれたのかな、なんて考えてしまう。原作を読んでみても特に違和感は感じられないので、ここがさらに丁寧だったら、もっと「名作っぽい」映画になっていたのかな、とも思う。

……でも、でもでもやっぱり、これはこの映画への評価とは全く関係ないことだけれど……。これは「ジブリ」じゃねえんだよなぁ……。僕は「ジブリ」が好きなので、この映画が「ジブリ」に最後のトドメを刺してしまったのかもしれない、という気持ちは、やっぱりちょっとあるかもしれません。アマリンボーのデザインが、かなりユーコンの男ピートなのは、誰も突っ込まない……?

劇場(2014.08)/TV放映(2015.10)
yunumata

yunumata