りょう

Plastic Love Story プラスチック・ラブ・ストーリーのりょうのレビュー・感想・評価

3.7
中川龍太郎監督作品巡りその3。中川監督の作品は一貫して、失うことで見える本当の自分みたいなことのように思える。

この作品、めちゃくちゃセリフが文学的というか詩的というか、リアリティのある会話ではない。そういう風に作られている。

①自殺してしまった中学の同級生(康臣)を思い続ける女性(恵理)が、康臣の姉からビデオテープを受け取り、生前の康臣の思いを知ってしまう話。

②学校内ではヒエラルキーの上の方にいると思われている女性(理奈)が、実は彼氏にトイレ扱いされてしまっていて、団地住まい、両親も不仲という境遇の中、ヤングケアラーの清掃員(透)から告白される話。

③医者の父が保護している精神的に病んでしまった男性(潔)と、その医者の娘(奏恵)が恋に落ちる?話。

3つの話が変わるがわる展開されていくが、後半になればなるほど引き込まれていく感覚があった。

Plastic Love=無機質の愛、作りものの愛、みたいなことだとすると、誰から誰への愛のことを指していたのかな。 

①は康臣から恵理への愛とも取れるし、想像妊娠したっていう意味で行くと、恵理から康臣への愛とも取れる。

②は理奈から透なのかな。

③は奏恵から潔かな。
奏恵と潔の会話はほんとに詩みたいなセリフの羅列でエヴァの内面世界での会話みたいだった。

主人公の3人とも最後は笑ってたな。3人ともplasticな愛を経て、自分の中で何か突き抜けたってことなんだろうか。

今まで見た中川監督作品でも異色な気もするけど、これはこれでまたチャレンジングな作品でした。U-Nextありがとう。
りょう

りょう