りょう

ロブスターのりょうのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.8
聖なる鹿殺しと同じなんですが、ランティモス監督、なんちゅう映画作るんだって感じです。

あらすじに書かれているのでネタバレじゃないと思うのですが、この作品内では独身は罪、強制的にあるホテルに連れて行かれて45日以内にパートナーを見つけないと動物にされちゃう。ただし、森に潜む反体制派みたいな人を麻酔銃で捕まえると1人につき1日猶予が増えるというシステム。

一方、反体制の方は逆に恋愛禁止。キスしようもんならくちびる切られちゃったり、セックスしようもんなら…(赤の性交って考えるだけで怖い)。

この極端な社会で人間って?恋愛って?みたいなことをあぶり出すような作品でした。そう考えると自分がなりたい動物になるのが一番自由だし、幸せなように思える。

作品を見てまず思ったのは、制限される方が恋愛って始まっちゃうよねってことです。今ってSNSとかマッチングアプリとかで、いくらでも制限無しに出会えるから逆に恋愛するのが難しいのかなとか思いました。逆に限られたコミュニティーで、ルールも制限されると恋愛したくなっちゃうのかもしれない…(オフィスラブとか)。

マッチング繋がりで行くと、プロフィールで共通点がないと恋愛できないとか、そういう感じに最近の世の中はなってきているのかな。この作品の世界では「共通点」っていうのが恋愛のポイントになってる。

最後はどっちを選んだのか、と解釈の余地を残して終わるけど、自分的にはロブスターかなと思いました。自分を傷付けてまで得る恋人との共通点って?自分にとって重大な犠牲を払って相手に合わせるくらいなら、自由奔放な動物でいた方がマシってデヴィッドなら考えそう。

ホテルの朝の元気チェック、謎の寸劇、反体制派の1人で踊る夜など奇抜なシーン多し。あと、よくあんな気持ち悪い電話の着信音思いつくなと思いました笑

変な設定の映画、とか思うけど、よくよく考えてみると私たちの現実世界を斜め45度くらいに傾けてみたらこんな世界なんだろうなと思います。ランティモス監督は奇才のように見えて、実は人間の本質みたいなものをしっかり理解している人なんだろうなと感じました。
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