りょう

夢売るふたりのりょうのレビュー・感想・評価

夢売るふたり(2012年製作の映画)
3.8
Filmarksを初めたのが2014年6月でもう直ぐ10年。一番初めにClipしたのがこの作品…10年寝かせました😅

何かしら心に穴が開いてしまっている女性がたくさん出てくる。松たか子演じる里子はもちろんだが、不倫していた部長が事故死した女性(しかもその兄弟から手切れ金渡された)、親や妹から結婚のプレッシャーを受ける女性、ウェイトリフティング一筋で女性としての活動(恋愛とか結婚)をしてこなかった女性、DVやモラハラ的な恋人(夫?)から逃れて暮らす風俗嬢など。

キラキラした人は全く出てこない。むしろ女性の嫌な部分とか騙されやすい部分とか、何を考えているのか分からなくて怖い部分が中心に描かれている。

里子が札束に火をつけてからの、貫ちゃんの入っている風呂でのシーン、怖かったー。そこからだんだん捻れていく2人の関係。

貫ちゃんの不思議な魅力。かっこいいとか色気があるって訳じゃないけど、人懐こくて何でも話せちゃう。ふにゃふにゃかと思ったら職人気質あったり。途中騙しているのか、本当に付き合っているのか分からなくなるくらい騙す相手と仲良くなってる。里子の指示っていうより、本当に仲良くなっている感じ。ひとみちゃんを本当に騙していいのかっていう葛藤が絶妙なバランスでした。阿部サダヲがぴったりの役。

ひとときの夢を売って得たお金でやっと作り始めた自分たちのお店。その夢が、逃げ走る里子の手からこぼれ落ちていく。

里子が病気なのかな?って匂わせのまま終わったり、貫ちゃんに騙された女性たちがふわっと幸せに向けて歩き出したくらいしか描かれていないのが物足りない感じだったが、わざとなのかな。

特に松たか子の存在感と体張ってる感じがすごい。というかエロい。さすがの演技でした。
印象に残ったのはウェイトリフティングのひとみちゃん。観ているこっちも幸せになってほしいって思ってしまう人でした。
りょう

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