りっく

ラブ&ピースのりっくのレビュー・感想・評価

ラブ&ピース(2015年製作の映画)
3.8
夢を追う人間が行って帰ってくるストレートな寓話。夢が肥大化しすぎて人でなしになっていく主人公の目を覚まさせる巨大化したカメに何故か感動。狂いながら夢を見続けることはいいが、それを「記憶」によって現実世界に引き戻すという展開は園子温映画の鉄板。

だが、麻生久美子の魅力的な面を描くべき、夢を届ける人間である西田敏行が物語上上手く機能していない等、欠点も多い。

園子温はやはり音楽の使い方がうまいと改めて感じる。耳に残るオリジナル曲「ラブ&ピース、君を忘れない~♪」、複数の作品で使用されるクラシック曲(「歓喜の歌」の「時計じかけのオレンジ版」が効果的)。今回はこの場面で流すか!という楽しみが園子温映画にはある。

また人々を扇動させる「教祖」という園子温映画おなじみのモチーフも本作では夢を追いかけたロックスターの物語として描写。長谷川博己という俳優の底知れぬ狂いようも素晴らしい。
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