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岸田今日子の独白。
旋律のように耳に心地よい声色と抑揚。
年老いてからは妖怪風味としか見てなかったけれど、当時34歳でお目目クリクリでピュアな表情がチャーミング。
もっとも早々にそんな事言ってられなくなるのだが…
しょっぱなから魔性の若尾文子登場。
矢継ぎ早な会話の応酬はタランティーノさながら。
ここで交わされるのはそんな駄話ではなく、ストーリーを独善的に進めるべく、早々に禁断の階段を一段飛ばしに駆け上がる性急さが驚嘆に値する。
言霊が乗り移った膨大な科白、新藤兼人の脚本に痺れる。
そして、溜めのないハイテンポはさすが増村保造節。
侘びもさびも無いのに叙情性は失わない。
文学的というより音楽的。
メロディアスでリズミカル。
あほらしい芝居が度を越せば強固な真実が出来上がる。
てっきり添え物かと思ったてた川津祐介の調子のええ下卑た態度も挑発的に絡み合い、船越英二の空っぽな夫ぶりも絶妙。
中世の時代から、貴族の戯れに憧れ嘲笑うのは文学の基本であると再認識。
みんな見てほし!
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放してほし、放して欲しい。
呑んでほし。
寝てほし。
光、光、光、手のひらいっぱいの赤い文字。怖。
名シーンを書き出しておこうかと思ったがキリがない。
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昨日見た「君の名前で僕を呼んで」に続いて見るのがレンタル中の本作。
BLに続いてレズ物。
色々見てると知らぬ間にジャンルをシンクロニシティさせているもので、ドキッとする。