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小さな逃亡者のkyokoのレビュー・感想・評価

小さな逃亡者(1953年製作の映画)
4.7
兄やその悪友たちにとんでもないドッキリを仕掛けられた7歳のジョーイが、たったひとりたどり着いたのはレジャー客でごった返すコニーアイランド。
さぞや不安で仕方がないに違いない……と思ったそばから速攻元気!死ぬほど遊び倒し&食いだおれている。なんでここにいるんだっけ?とふと我に返って顔を曇らせたりする瞬間もなくはないけど、たぶんすぐ忘れてるよね。

むちむちボディとポーカーフェイス(たまに笑うと前歯がないのが最高にキュート)で、こうと決めたらやり遂げる、ザ・痛快冒険劇。最初から最後まで豪胆無比だった弟が、再会した兄に向って放ったひとことがいちばん笑えた。

見上げる、見下ろす、見回す……子どもの好奇心そのままの動きで、写真家としての目線はどこを切り取っても完璧な構図を生み出している。
遊園地の喧騒以外はハーモニカひとつで場面場面を盛り上げるのもまた良き。

写真スタジオの男やポニー農場の男、テレビに夢中になっている弟の服を着替えさせる兄の姿にも垣間見える「父性」の暖かさが印象深い。
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