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ホームレス理事長 退学球児再生計画のkyokoのレビュー・感想・評価

4.3
強豪野球部に入りながらもいじめやケガで続けられず高校もろともドロップアウトした子たちに野球と勉強の場を!という理念で設立されたNPO団体「ルーキーズ」を追ったドキュメンタリー。

設立から6年、赤字運営が続く中、理事長は日々金策にかけずり回っている。自分は電気ガス水道が止められ家賃も払えなくなり漫喫生活。己を犠牲にしてまでもルーキーズ存続のために奔走しているのに、どういうわけか全く美談にならないところが今作の肝のひとつ。
今やるのはそれじゃないだろ?が満載で、直球しか投げられない&コントロールが定まらず大暴投するおバカさん。てかなんでCD買わされてんのよ(笑)

もうひとつは、ルーキーズの監督と体罰問題。
彼は自分が指導していた高校の野球チームを甲子園に導きながら、その後別の学校での体罰事件によって逮捕され球界から追放されたという経歴の持ち主。
今彼は体罰についてどう思っているのか、それがはっきりと分かる場面がある(フジテレビで放送されたときはカットされたらしい)。かなり賛否が分かれるところだけど、私は否定できなかった。

そして今作で私を最も困惑させざわつかせた球児、小山くん。
彼は辞めたり戻ったりを繰り返すのだけど、そのたびに「またか……」と溜息が出そうになる。みなと同じ「野球」という目的の中にいながら、彼は何がしたいのかが一向に分からない。メンタルが弱いのか強いのかも謎。

散々理事長に振りまわされた人たちは、なんだかんだでルーキーズから離れられない。一度失敗した彼らに再生するチャンスを与えたいという理事長の強い思いをどうにか形にしてやろうと思っている。
一体どこに連れていかれるんだろうと思った今作だけど、そこにしっかり愛はあるんだよねえ。

狂犬のごとくカメラにくってかかってた子がラストでみせた笑顔に大泣きしちゃったよ。
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