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ヴィオレッタのNMのレビュー・感想・評価

ヴィオレッタ(2011年製作の映画)
3.5
途中で、あれ、これ実話なのかな、と思ったらそうだった。
なぜ気付いたのか分からないが、実話ものとフィクションとでは何かが違うんだろうなと今回はじめて気付いた。

ヴィオレッタのモデルとなったエヴァ・イオネスコ自身が振り返って監督したもの。作品内の写真同様、この映画自体も児童ポルノにあたるかどうか議論となった。

母アンナはヴィオレッタを愛した。
しかしその愛は、自分の存在をずっと不安定に感じていたアンナの自己承認を満たしうる大切なツールとしての愛のようにみえた。
ヴィオレッタのお陰で自分を認めてくれる人が増え、承認欲求が満たされていった。ただそれはいくら得ても足りず、アンナはもっともっと人から認められたがった。それまでの渇きは満たすには無限の水が必要だった。

ヴィオレッタも母から愛されたかったため従っていたが、やがて思考が育っていくと何かがおかしいと気付きだす。これが一種の近親相姦だとは私には考えが及んでいなかったのでどきりとした。自分の満足のために子どもの性を利用するという意味ではそうなのだろう。

子どもは子どもらしくするべきとは私は必ずしも思わないが、限度はある。
結果としてヴィオレッタの精神状態は激しく不安定になり、愛されたかった母を憎むようになってしまった。
作品内でヴィオレッタはほとんど間違ったことは言っていない。

これは映画なので、実際の二人の関係がどうだったかは知らないが、少なくとも子どものほうは今こう捉えている、ということが分かる。
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