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わたしは生きていけるのmimocyanのネタバレレビュー・内容・結末

わたしは生きていける(2013年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

終末的な世界観は好物のひとつ。それ故か、厳しめに見てしまう傾向には御勘弁願いたい。
戦争やサバイバル要素真っ只中であるものの、これは完全に恋愛映画。
戦争の原因とか、ディテールの部分はあまり語られず。しかしこのあたりは舞台装置として機能してくれてればそれでいいので、それよりか制約のなかでなにを見せてくれるかが大事だと思うのです。
日常を逸脱した世界設定と蹂躙された絆の再生。しかしながら、せっかく切り取った世界で、描かれるべき話になっていたかというと疑問が残ってしまう。

前半の川にドボーンしたときの映像は本当に美しくて、しあわせーなままここで終わっちゃってもいいかもなんて思った。
子供のたちの作ったつかの間のユートピア。もう一度皆でこの場所へって思いは、最後まで映画の根幹となるのだけれど、その割に「あえて」なのか煮えきらない展開が目につく。
わざわざパイパーと行動を共にさせたのに、その必要性(物語としての意図)が見つけられないし、なによりその流れを絶ちきってしまうのはアイザックへの施し。終盤の悲劇に対して、なぜ?って行動をしてしまう。や、あなたたちの目的は家に帰ることだったんでしょ?自分だけ帰れればそれでいいんかいっ!

…いいんです(ぇ
そんなエゴも主人公の本心と、それに伴う成長という意味では納得できるし、間違ってない。躊躇なく他人を殺めてしまうシーンもしかりで、ここは置かれた状況に則しつつ彼女の目的意識を強調するに十分だったと思う。

でも、このあたりから恋愛ドラマへ一本化されていく趣向にのりきれず、ズレかけていた温度差が決定的となる。
無い物ねだりな感想ですが、主人公が目的と引き換えに置き去りにしたものこそ、観たかった部分だったんだろうなぁ。
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