ねまる

ソロモンの偽証 後篇・裁判のねまるのレビュー・感想・評価

3.4
藤野涼子演じる藤野涼子。
1人の女優がここで生まれて、この名でこの世界で生きていく。

どれだけ力を入れた企画だったのか、
当時中学生だった、藤野涼子をはじめ生徒役の数々で思い知らされる。

現在まだ20歳前後の彼ら、あと10年経ったらさらに実力派たちの若き日を収めた偉大な作品になるのかもしれない。
当時の青ささえも、それが切り取られていることが貴重なんだ。

石井杏奈、富田望生、望月歩、板垣瑞生、そして清水尋也。
その後も数々の作品で活躍する若手たち。
中でも、望月歩の可愛らしくも、世界をお見通しのようで恐ろしい目。
この年でこんな存在で近寄りがたさを感じさせるオーラを出していたのか。

板垣瑞生は、3〜4年前に友達から教えてもらって認識したけど、その後私の観る作品でお会いする機会がなくて。
主人公に次いでキーパーソンとなる神原という役柄を、大きく澄んだ瞳で演じる彼。
ある意味幼さが無くて、凛とした表情と役柄があっていた。
今の彼に出会いたい。

今の実力を知っているのは清水尋也。
今と比べると、遥かに幼くはあるんだけど、それが役柄の幼さともリンクしている。暴力でしか気持ちを表せない不安定さを衝動的に演じるのは、むしろ今のが難しいのかも。この頃にしか出来ない。
そしてここから、成長したね。

だからこそ、この映画は年齢設定を変えたりするのではなく、等身大の彼女たちに演じさせた。

その分彼女たちを良くも悪くも囲む大人たちは豪華キャストだ。
子供は大人を見て育つ。
大人たちの誠実な芝居が、彼女たちを全力で演じさせる、その役柄として存在させる手助けをしているのだろう。
みんな主張せず、でも安定感があるキャスティングだった。
ねまる

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