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キル・ユア・ダーリンのしゃにむのレビュー・感想・評価

キル・ユア・ダーリン(2013年製作の映画)
3.0
「ルールを破るのが非凡人の義務だろう?」

ホモワーツ夜の魔法学校の男子寮は禁断の花園。くたびれダーティー・ポッターと魔性の美青年デイン・マルフォイの危ないヒミツの関係。ゲイ術的だァ…この作品は決してスネイプ先生に見せてはいけません。嫉妬と興奮で手がつけられなくなりますよ(きっと)

やさぐれてみたもののポッター感が全く抜け切らないダニエル・ラドクリフと妖艶で脆く危うさを感じさせる色気全開美青年デイン・デハーンの「美男と無難」の組み合わせ…どうなんだ?デインに喰われ気味な印象でした。同性愛・BLを描くなら美青年と美青年を絡めた均衡が欲しかったです。

ダニエル・ラドクリフくん(さん?)はハリポタから相変わらずの寡黙な憂え顔で酒にクスリに身を任せますが堕ちた感じがしません。溺れても芯のところで自分を保っている印象がありました。問題のベッドで仰向けのシーンは強烈でした。これはハリポタファンは観ない方がいいかもしれません。次からどんな顔でハリポタ観ればいいんだ…( ゚Д゚)

デイン・デハーンは見事に小悪魔的な美青年を演じました。平素から観る人に何かしら危ないことを囁きかける彼独特の雰囲気が今作を形作っています。デインの魅力を引き出しつつ作品に漂うインモラルな雰囲気を醸し出します。若い頃のディカプリオを見た時に感じた「ハッとする」美。ダニエルくんのみならず視聴者までにも背徳的な囁きをします。いやらしくない色気、不思議な恋慕感、抗うのも忘れそうな背徳感、今作のデインは特に魅力的に見えました(ノ∀`)

今作はビートジェネレーションがお好きな方にはたまらない面々が登場します。

ケルアック
青春のバイブル「路上」の作者で飄々と旅する詩人(路上はぼくも大切にしています)

バロウズ
ヤク中作家「裸のランチ」はぶっ飛びすぎて意味不明でした。

ギンズバーグ
本作でラドクリフ演ずる主人公。最も成功した詩人だとか。

ケルアックとバロウズの作品は触れたことがあるので、ドラッグやバカみたいな悪ふざけにギョッとはしませんでした。むしろそうだよな、と納得しました。

老け顔で浪人生にしか見えないギンズバーグ(ラドクリフ)はコロンビア大学に入学し図書館で卑猥な(ヒント 竿)言葉を大声で叫ぶルシアン(デイン)という美青年に出会います。

他にもケルアックやバロウズ血気盛んな文学青年達が集まり「新幻想派」なる挑戦的な文学グループを結成します。旧来の固定概念をぶち壊せ、権力者などクソ以下、新しい言葉やリズムをオレ達が作るんだ、とわめき散らし、名作本をめっためったに破いたり、夜の図書館に忍び込んで卑猥な文章の作品で模様替えしたり、樽に入って坂を転がったり…ドラッグや酒や煙草をガソリンにして若い奔放な魂が力を過剰なまでに使って駆けずり回ります。ビートしてますね。精神科が催眠に使うガスを吸引して創作に励むバロウズが特にクレイジーでした( ´艸`)

要は三角関係です。ルシアンは魔性の男でして、以前付き合っていた元カレがストーカー化し、してこく迫られて、たまたま出会ったギンズバーグと気まぐれな恋愛関係に発展するわけです。付き合いがこじれる原因はルシアンにありました。ルシアンはある距離までは人を愛せます。が、ある距離を越えると拒絶せざるを得なくなります。ジレンマです。究極的に人を愛せない人みたいです。それゆえこの様な出来事が起こったのかも。

今作はラドクリフが主役ですがデインに喰われています(2回目)

「生まれ変わるなら1回死ね」という詩人の言葉を引用して、わざわざ2人揃って首吊りをします。悪ふざけが過ぎます。デインの白目を剥いた迫真の顔芸…(・ε・`)

ラドクリフの膝に頭を預けるシーンやラドクリフの胸に頭を預けるシーンはハッとしました(別に変な意味で言ってませんから)

日本では公開されていないとか。ツタヤでレンタル可能です。ハリポタファンにはあまりオススメしません。デイン・デハーンに溺れてたらええどす(^q^)
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