いの

薄氷の殺人のいののレビュー・感想・評価

薄氷の殺人(2014年製作の映画)
4.2
ネオンなどなど照明が強烈な個性を放っていて、その光はまやかしのようでもあり、そのまやかしを抜けると真実にいきつくような誘いのようでもあり、吸い寄せられてしまう。照明と風景とのバディも、この映画を特別なものにしている要因のひとつだと思う。このネオンに匹敵できるのは、グイ・ルンメイの美しさより他なく、とにかくグイ・ルンメイがそこにいるだけで男達は吸い寄せられてしまうけど、吸い寄せられるのもごもっともなほどにグイ・ルンメイが美しい。藍色夏恋のあの娘がこんなんなってたとは全然知らなかったわ。男達の多くは後ろから抱きつくし、ホント気色わるい(褒めてませんw)


ジャオを演じたリャオ・ファンは、(田口トモロ+近藤芳正)÷2のようなみてくれで、要はそこが日本だとしてもどこにもいるようなおじさんで、でも演技だったら実はうまいんですよ、的な(なにを言ってっか自分でもようわかりまへん)。以前みたイースタン・プロミスでのサウナの場面が壮絶だったので、今作でおっちゃんたちの風呂場が出てくると何故か期待してまった。


すっとんきょうな(一所懸命考えてみたけどこの言葉以外思いつきませんでした)ショットが時々挿入されていて(例:逃げようとする人にゆっくりダイブする刑事)、なんか不思議で笑いました。唐突な発砲とかにもやられました。死体包んでるストライプのビニールシートとか、小道具も印象に残ります。観覧車は上まで行くと降りてきちゃうけど、グイ・ルンメイにはスケートしながら何処までも何処までも軽やかに走っていって男どもの手の届かない場所にまで滑っていってほしいと、夢想しました。
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