ピッツア橋本

リッチーとの一日のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

リッチーとの一日(2012年製作の映画)
4.7
"自傷男に生意気な天使を"

バスタブで手首切って死のうとしてるリッチーに一本の電話。それは疎遠だった妹から姪っ子の面倒を急だか見てほしいとの一報だった。男は朦朧とした意識の中で一考し、止血して姪を迎えに行くことに決めた。

という序盤から始まるヒューマンドラマ。18分ちょっとの短編映画。
世界観がカッコ良くてナヨナヨしてて、素晴らしい。
リッチーのダメ男の素材を全部集めてグツグツに煮込んだ闇鍋のような駄目感がすごい。どうやって生活してるんだろうとなる。ずっと限りなく黒に近いグレー。

姪っ子の生意気で可愛い感じがそこに光を差していく感じが本当に瑞々しくて良い。
パラパラ漫画のくだりは可愛らしくもあり、色々映像にないストーリーを喚起させる。良質な脚本のお手本とでも言わんばかりの、とても良い小道具として機能している。

終盤のお母さん、リッチーの妹との対話は深い人間ドラマを見せてくれる。
リッチーがダメ過ぎる故に光るエピソードがギュッとセリフの中には詰まっていて、想像して泣いた。兄妹の濃い血の絆みたいなものが描かれていたと思う。

自分は趣味で創作ストーリーも作るが、本作でやってる事全てに憧れた。世界観も台詞も空気感も何もかも。

とても良質な、すごくクールな短編映画でした。
ピッツア橋本

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