Mariko

FRANK ーフランクーのMarikoのレビュー・感想・評価

FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)
4.5
コメディタッチなのかと思いきや、才能って何、ポピュラリティって何、普通って何、人間って何 という物凄いところをえぐってくるやつ。

音楽映画の体を借りてはいるけれど、たまたまバンドという形で表現しているだけで音楽映画では全然ないし、奇怪なお面をかぶっているけれどこれもある種の象徴で(でも実話がベースというのを読んでこれまた驚き)、実は普遍的なテーマ。

精神疾患を抱える人(ドンやフランク)が、PTSDとかばっかりじゃなくて特に理由がない人もいる、という立ち位置で描いてるのもすごい。

まりもさんの簡潔ながら興味深いレビューに惹かれて殆ど情報なしで観たので(それまでクレイアニメかなんかだと思ってたレベル💦)、フランクがマイケル・ファスベンダーだった時に椅子から落ちそうにビックリした。
いや、、湖畔のキャビンにドイツ人家族が来ちゃって、どうすんだよ、ってなった時に突然 "Es tut mir sehr leid...... Lass uns spazieren gehen!"(本当にすみません、〜ちょっと外を歩いてお話しましょう)って言ったフランクになんだコイツドイツ語ネイティブか?と思った時点で思い当たるべきだった...またこのシーンは、フランクの「人間離れした」力とそれをどう捉えたら良いのか戸惑う面々の対比の描き方が見事で、この映画のヤバさを実感した場面でもあった。

誰も成功してないし「ある意味」誰もハッピーにはなってないのにラストでえもいわれぬカタルシスに包まれるという稀有な映画。
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