ナガノヤスユ記

FRANK ーフランクーのナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)
3.5
響くような響かないような。フランクというキャラクターのエッジに対して、ホン上のサスペンスに鋭さがない。まあ覆面音楽家なんてそもそもそんな斬新な設定でもないって言えばそれまでかも。
田舎のロッジでのセッションシーンなんかは思いの外いい。時間をかけて曲の構想を探っていく迷路作りみたいな共同作業には不思議なリアリティがあった。それなりに音楽ヲタクであるはずのジョンがテルミン知らないのにはちょっとずっこけたけど、それもホンの意図なのかしら。

あとは『シェフ』なんかを見たときにも思ったんだけど、Twitterやブログといったネットツール上の投稿がキャラクターのモノローグと連動して画面に映ってしまうのは、個人的にはかなり際どいと思う。『モテキ』なんかもそうか。
そもそも映画のナラティブの中で、モノローグの表現自体がかなりキワい飛び道具であるのに、そこにネットでの呟きまで一緒くたにしてしまっていいものか。見る側の印象としてはどうしても、誠意のない猥雑さを感じてしまう…。
これは見る側の慣れの問題なのか、まだまだ表現に探究の可能性アリだからなのか、どちらにせよ今はまだあんまりハマれないね。