このレビューはネタバレを含みます
定期的に観たくなるジャック・タチ。作品自体はとても好きなのだけれど、毎回コメディとしての面白さにはどうしても疑問を持ってしまう。やはりコメディと言うと派手なアクションやシチュエーションの変化を期待してしまうゆえ、自分には面白く感じないのだろう。もはや面白くないことが面白くもあるのだが、、
では彼がやろうとしたコメディが何かを考えてみると、日常に存在するつい見逃してしまいそうなモノやヒトの可笑しさなのではないだろうか。決して作為のあるような芝居をさせず、ワンショットに収まっているモノとヒトの関わり合いの中で笑いを生み出していく。コメディはシチュエーションが生命線だということは良く言われたことだが、それを取り入れているようで取り入れていない本作はコメディとして実に稀有な作品なのである。
あまりにも物語に波がないし、テンポも合わないために、続けて観るのは気が引けるのだが、今回のようにまた観たくなるようなタイミングがいつか来るだろう。そのときを楽しみにしていようと思う。