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いま、輝くときにのGreenTのレビュー・感想・評価

いま、輝くときに(2013年製作の映画)
1.5
青春映画って若者のバカさとか破天荒さが変に誇張されているものが多いけど、これは「等身大の高校生」を描いているってことで、評価が高い映画なのですが、私は「大人が思う等身大の高校生像」って感じがして、全く刺さりませんでした。

この主人公のサッター(マイルズ・テラー)は、クールな彼女、キャシディ(ブリ―・ラーソン)とパーティ三昧の高校生活を送っているのだが、誤解が元で捨てられてしまう。21歳にならないと入れないバーに潜り込んで女の子を探すが相手にされず、泥酔して人んちの庭で寝ているところをエイミーという同級生に発見される。

このエイミーを演じるシャイリーン・ウッドリーが適当に太っていて、適当に美人じゃなくて、確かに等身大の高校生って感じで好感が持てる。しかも、漫画好きなヲタクで、17歳なのにボーイフレンドもいないし、サッターも名前も覚えていない地味~な子。

なんだけど、サッターの方の立ち位置がイマイチ判然としない。アル中らしいのだが、ただパーティ好き!でしょっちゅう泥酔しているならわかるけど、スキットルにお酒入れて持ち歩いているなんて、おっさんじゃないんだから。まあ~あんだけヤク中の高校生の映画があるんだから、こういうガチなアル中高校生がいないとは言わないが、イマドキの高校生がスキットルなんて使うかね?

あと、サッターはクールな彼女と付き合ってた人気者なのか、みんなに「ジョーク」と思われて疎まれている子なのか、なんかはっきりしない。エイミーは冴えない女の子と描かれているので、最初は友達っていうか、勉強教えてもらったりしているんだけど、そのうちパーティに誘ったり、キスしてみたりする。そこが、だんだんエイミーに魅かれているんだか、ジゴロっぽく口がうまいだけなのか、どこら辺で本気になっていくのか、その感じがわからない。

キャシディも良くわからん。サッターが女の子と車の中にいたのを、浮気したと誤解して別れるんだけど、ちゃんと説明して誤解を解いたはずなのに、人気アスリートの男の子と付き合い始める。それでサッターがエイミーと付き合い始めると「さみしいわ」みたいなメールを送ってくる。まあ~、人気者でビッチな女だから、そうやって男を操るのかな?ってこの辺は定番だけど、なんか要するにサッターのことは好きだけど、将来の計画がないサッターを見限ったってことらしい。

みんな高校卒業間近で、大学へ行くことを考えているのに、サッターは「今のままでいたい(The Specutacular Now)」って思っていて、キャシディは「私は、今以上のもの、将来が欲しいのよ」みたいなこと言うんだけど、なんかこれ、現実味がない。高校生が大学へ行くって、「もっとパーティ!」みたいなノリもあるはずなんだがなあ。しかもこの子、アスリートの彼氏と「カリフォルニアに行く」って言うけど、大学行くとは言ってないし、何を求めているんだか、良く分からない。

キャシディの彼氏も、サッターがキャシディにちょっかい出してると思っていちゃもん付けに来るんだけど、その時「キャシディは俺といるとき、お前といるときのように笑わない。なんでだ?」って訊くんだけど、なんかこういう設定がすべて、「おっさんが考えた高校生のあるべき姿」っぽくって、納得いかない。

サッターのお父さんの問題もなんか「ふーん」って感じ。お母さん役がジェニファー・ジェイソン・リーじゃねーかよ!老けたな~。しょっちゅう「あんたを見ていると、あんたの父親を思い出すわ!」ってサッターを傷付けているのに、本物の父親のていたらくを見せるのは気の毒だからと、お父さんに会わせないように、電話番号を隠す、って良くわからない。

お父さんに会った後サッターがエイミーに辛くあたったり、エイミーが事故に逢ったりするのも、うまく回収されてなくて「なんだったんだ?」って感じ。

あとさー、エイミーはサッターと付き合うようになってから酒飲みになるんだけど、それでエイミーの成績が下がったとか、エイミーがサッターと付き合うことで全く変化がない。それも「?」って感じ。スキットルをプレゼントされて喜んでいるのも「?」。これもおっさんが考えた初々しい高校生って感じ?

最後はキャラがみんな成長することになっているのだと思うのだが、誰一人成長を感じなかった。どこら辺に感動すればいいのかわからない。
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